明石市市長がまちづくりのさまざまなテーマで講演しました。2023年11月8日 8:40:33

あかしウエブで読めます

2023年2月14日 8:14:49
・序章。・
28頁・(4)自治体経営四つのポイント2023年11月7日 8:58:52・



『第3章 やさしい社会を明石から』97

・障害も責任は社会の側にある・99・

・胸を張って手話を使える社会に・100・

・ろう者の市議会議員誕生・・103・

・当事者が主人公・105・

・合理的配慮の提供支援で街の風景が変わる・106

・障碍者団体が一つの組織に・109・

・町を挙げてホームドア設置へ・110

・すべての市民を、まちのみんなで・113

・被害者支援と構成支援は車の両輪・115

・当事者目線の犯罪被害者支援・118

・つなぐ、ささえる、ひろげる・121

・「おかえりなさい」が言えるまち・122

・やさしい社会を明石から・124


『第4章・ 本のまち、明石』127


『第3章 やさしい社会を明石から』97

・障害も責任は社会の側にある・99・

・胸を張って手話を使える社会に・100・

・ろう者の市議会議員誕生・・103・

・当事者が主人公・105・

・合理的配慮の提供支援で街の風景が変わる・106

・障碍者団体が一つの組織に・109・

・町を挙げてホームドア設置へ・110

・すべての市民を、まちのみんなで・113

・被害者支援と構成支援は車の両輪・115

・当事者目線の犯罪被害者支援・118

・つなぐ、ささえる、ひろげる・121・更生支援は国や法務省だけの問題ではありません。犯罪が起こる場所は地域、罪を犯した人が戻ってくるのも地域、それを支えるのも地域です。2023年11月7日 16:11:44

・「おかえりなさい」が言えるまち・122 ・受刑者一人当たりの年間経費は300万円とも言われます。100円、200円の万引きで「刑務所のリピーターになると、10年で3000万円をみんなで賄うことになります。30年、40年になれば、1億円の税金を万引きや無銭飲食を続ける人のためにし続けるのです。これほど社会にとってデメリットばかりなのに、放置され続けています。2023年11月7日 16:23:32・

・やさしい社会を明石から・124

『第4章・ 本のまち、明石』127


 

『第5章 発想の転換による自治体経営』145

・広く世界にわが町を位置づける・147

・市民に最も近い行政は「市」・149

・その施設に普遍性はあるか・152

・日本の近代化に見る時代の変化・154

・二層構造と三層構造の都市制度・155

・大家族制・村社会のセーフティネット・157

・四つの要素はすべて変化した・158

・リアルな標準家庭像を持つ・161

・国に頼らない自立した財政・163

・組織編成で体質改善・165お金がないから市民サービスが出来ないという発想はありません。今ある限られた予算の中でも、何とかやりくりし、実施してきました・2023年11月7日 8:34:14

・無駄の削減とコスト感覚・168

・「公」を担う心の在り方・172


 





過去5年分の歳出決算額と民生費・土木費の割合の推移を作成しましので、

歳出総額に占める民生費・土木費(決算額)     (単位:千円)
年度 歳出総額
うち民生費 割合 うち土木費 割合
令和3年度 70億4,554万円 20億8,475万円 29.6% 6億1,436万円 8.7%
令和2年度 67億8,771万円 18億3,655万円 27.1% 4億3,156万円 6.4%
令和元年度 60億5,083万円 13億7,572万円 22.7% 5億5,849万円 9.2%
平成30年度 57億4,519万円 13億2,506万円 23.1% 3億9,584万円 6.9%
平成29年度 48億8,770万円 13億2,433万円 27.1% 3億7,127万円 7.6%
【解説】
平成30年度決算額が前年度と比較して増加したのは、りゅうがく館整備事業と庁舎整備基金積立てによる。
令和元年度以降の増額は新型コロナウィルス感染症対応事業による。

2023年2月28日 18:26:51


龍郷町基金残高推移         (単位:千円)
年度 基金残高 標準財政
規模
財政調整
基金
減債基金 その他
令和3年度 46億1,600万円 27億9,000万円 4億9,900万円 13億2,700万円 37億9,500万円
令和2年度 41億1,600万円 27億9,000万円 4億6,600万円 8億6,000万円 35億2,200万円
令和元年度 38億3,600万円 25億9,000万円 4億6,600万円 7億8,000万円 34億1,900万円
平成30年度 35億6,800万円 24億3,500万円 4億6,600万円 6億6,800万円 32億7,000万円
平成29年度 34億2,100万円 25億9,400万円 4億6,500万円 3億6,200万円 32億2,500万円
平成28年度 31億3,000万円 23億4,300万円 4億6,500万円 3億2,200万円 31億9,400万円
平成27年度 29億1,600万円 20億3,000万円 4億6,400万円 4億2,200万円 31億6,600万円
平成26年度 25億900万円 16億3,000万円 4億6,300万円 4億1,600万円 30億7,100万円
【用語解説】
財政調整基金:自治体の貯金。標準財政規模の20%程度が望ましいとされる。財政調整基金の財源は、
       税金であるため、住民にしっかりと還元すべきとの考えから、「貯めすぎないように」
       と国や県から指摘を受けている。
減債基金:自治体の借金(起債)の返済に充てることができる
標準財政規模:地方公共団体の標準的な状態で通常収入されるであろう経常的一般財源を示す。
       標準税収入額+普通交付税

2023年2月28日 14:04:02




子どもが増えた! 明石市 人口増・税収増の自治体経営・
2章 マイノリティが社会発展の鍵を握る 村木厚子(元厚生労働省事務次官)
102
・・131頁・

・刑
務所から見えたこと


3 1%の積み上げで地域は蘇る藤山浩
(
持続可能な地域社会総合研究所)137頁・~・202頁まで・
・龍郷町・高枝カッターは、静音で都市部での利用に最適です。ス
/
14:22 2022/03/14


生駒市公式ホームページです。生駒市に関する情報をいち早くお届けいたします。
新型コロナ感染症患者の発生状況 新型コロナウイルスワクチン接種についてのお知らせ 自宅療養者や自宅待

10:02 2022/03/19


202011 9 ()・メガ・リスク時代の「日本再生」という希望
・生駒市公務員の終身雇用制度は1015年で崩壊する小紫雅史





子どものまちのつくり方・28頁・48頁・

 

・市民とまちの未来への責任を果たすため、明石では、市民一人一人に焦点を当てたソフト施策に重点を置き、持続可能なまちづくりを目指しています。

28頁・(4)自治体経営四つのポイント2023年11月7日 8:55:59・


48頁・2022/02/16 18:17

・まず前提として、地勢や時代はもちろん、社会情勢に応じて我が町を常に多角的な観点から捉えることにしています。

・明石は関西圏、京阪神地域の西端に位置しています。隣接する神戸や大阪には多くの学校、企業等があり、交通アクセスの良い明石はベットタウンとして発展してきました。「学ぶ」「働く」は市外です。「暮らす」は明石で。面積約49平方キロメートルと市域の狭い明石では、それは日常の風景です。・近くに大きな都市圏、経済圏があることで、市域を越えた人の往来も多く、大きな影響も受け、与えてもいます。近隣から子育て世帯が数多く転入してくる一方で、1519歳の層だけは、毎年、転出超過です。今も流出が続いています。


29頁・2022/02/15 13:34

・ここを食い止めるとよく他の首長さんはおっしゃいます。ですが、明石の場合は、そこで無理に抵抗することはしません。進学や就職による若者の市外流出を防ぐことを、ある意味あきらめています。

・言い換えると、周辺の大都市と競争して、無理やり大学や企業を誘致しなくても、市民の生活実態に即した圏域で「学ぶ」「働く」を担保しているのです。これは明石の大きな強みにもなります。

・「学ぶ」「はたらくは」市外で。この分野で明石が大きく投資をして無理を重ねたところで、周辺都市よりも抜きん出るのは容易ではありません。それよりも明石は「暮らす」に重点を置きました。コンパクトで交通利便性の高い中核都市の強みを生かし、思い切って暮らしやすさに特化した自治体経営にシフトしたのです。

・周辺の関西エリア、大阪通勤1時間圏内に済む子育て層が、本当にくさしたいと思えるまちづくりをしています。結婚して一人目の子供が生まれ、二人目の子を考えている方達に、「明石なら、二人目のかのですよ」「子育てするなら、明石はいかがですか」とアプローチをかけているのです。魅力のある施設であれば、当然来てくれる、というよみに基づいて、明石の地理的な強みを意識した明確な施策展開をしています。


30頁・2022/02/15 17:47

・思い切った施策展開を可能にした、明石市の自治体経営のポイントを四つに分けて説明します。「市民とのビジョンの共有」「時代に応じた予算のシフト」「適時・適材・適所の組織人事配置」「広報戦略」です。

・(1)市民とのビジョンの共有・

市のまちづくりの重点テーマは、現時点では大きく二つに集約することが出来ます。子育て、教育など、子供を「有無」「育てる」。そして、高齢者、障害者など、支援を必要とする人を誰ひとり置き去りにせず、必要なときに支援する「安全・安心」です。

・実にタイミングよく、私が市長に就任する直前に、子供を「有無」「育てる」、みんなの「安全・安心」を最重点に掲げた新たな長期総合計画ガスターとしました。

・「ひと」に焦点を当て、基本構想で目指す町の姿を「ひと・まち・豊かに育つ未来安心都市・明石」と設定。まちづくりの戦略を「子供の健やかな育ちで、みんなの元気を生み出す」と定めています。

・みんなの思いが込められたこの理念を絵に描いた餅にすることなく、改めて分かりやすいメッセージとして示したのが、「子供を核としたまちづくり」であり、「優しい社会を明石から」です。

31頁・2022/02/15 18:40


・市政の柱です。まちづくりに基本方向となる既定の理念で、市民の共通認識でもあります。

・「子供を核としたまちづくり」で大切にしているのは、すべての子供を対象とすること、誰ひとり見捨てないことです。

・子供・教育には20歳の頃から強い思いを抱いてきました。大学には経済系で入学しましたが、後期課程の進路を選択するとき、ほとんどが法学部や経済学部に進む中、教育学部を選び、教育哲学・教育心理学などを学びました。

・当時から日本社会は、子供に冷たすぎました。今もそうです。諸外国に比べ、あまりにも子供に関心が薄く、予算もわずかです。未だにこんな惨状が続いていることに、愕然としています。

・世間では財政負担の重さから、所得制限を設ける声も聞こえてきます。でも、本気で一人一人の子供自身の事を考えるなら、お金がないから出来ない、しない、という発想は間違っています。・子供は親の持ち物ではありません。子供の立場でなく、親の収入で区分けするのは、そもそも目線が違うのです。

33頁・2022/02/15 18:52


・子供達を色分けすべきではありません。

・加えて言うと、本当に少子化に歯止めをかけようとする気があるのなら、子育ての経済的負担の軽減をしっかり本気で行うべきです。大多数の中間層にメリットの生じない所得制限策では、政策効果は生まれません。所得制限ありの子育て支援策は、ユニバーサルな明石の施策とは似て非なるものです。根本の哲学も全く違います。

・子供は全員、誰ひとり取り残さない。私の学生時代からの揺るぎない信念であり、変わらぬ想いです。子供目線で、本気で応援する、まちのみんなから預かった税金で、まちの未来を作る。みんなで、みんなを応援する。譲るところの出来ない決意です。

・明石の施設は「所得制限なし」「一部負担なし」です。子供の総合支援、まちの未来には、欠かせない要件なのです。

・すべての子供を見捨てない。これはインクルーシブ社会の根幹をなす理念でもあります。国連のSDGSの理念「誰ひとり置き去りにしない」を市が施策で具現化することです。世界中で求められる普遍的な行動です。実現に向けて行動するのは当然なこと、あたりまえなのです。

33頁・2022/02/16 6:24


・明石は共生社会へと真っ直ぐにつながるこの道を、本気で歩んできました全国に先駆けて様々な施策を実施しています。それでもまだまだ十分ではありません。やらなければならないことは、本当に沢山あるからです。「出来ることは、すべてやる」。強い決意を胸に、明石からこども総合支援をもっと深く、より幅広く拡大しています。

・「優しい社会を明石から」では、子供だけでなく、高齢者や、障害の有無などにかかわらず、誰もが暮らしやすい共生社会の実現に向けた取り組みを、行政が担うべきとりわけ重要な責務として、重点的に推進してきました。

2,015年、全国初の手話言語・障害者コミュニケーション条例を制定し、2,015年には、障害者配慮条例を制定し、全国初となる合理的配慮への公的助成制度をスタートしました。民間施設への筆談ボード、点字メニュー、簡易スロープの設置が広がり、明石駅周辺ではスターバックス、マクドナルドにも筆談ボードがあります。駅周辺から市内全域へ、配置してあるのが「あたりまえ」に変わってきています。

2,017年には、東京2,020オリンピック・パラリンピック大会を契機に、優しい社会作りを先導する「共生社会ホストダウン」に第一次で選ばれました。

34頁・2022/02/16 7:20


「ハートも大事、ハードも大事」の気持ちで、ユニバーサルデザインのまちづくりと心のバリアフリーハードとソフトの両面で取り組みを加速しています。

2,018年に入り、全国の自治体で初となる手話フォンを明石駅前に設置しました。先に設置された羽田空港よりも利用回数が多く、大変喜ばれています。

・同年夏には、分け隔てのない共生社会の実現に向け、障害者権利条約とSDGSに基づいたあかしインクルーシブ条例(仮称)の検討を始めました。明石をよく知る障害者当事者だけでなく、全国から集まった各分野の第一人者の方と共に、明石から虚勢社会を広げているところです。

・私は学生時代から、世界の動向にも関心を持ち、中止してきました。狭く日本国内だけを見ていても、共生社会は実現出来ません。国内に先例がながなくとも、支援を必要とする人が必要なときに、適切に支援する。海外の他の国では当たり前に出来ている施策は、日本でも当然実施する期です。この長年の思いを、今ようやく明石から実施しているところです。

・みんなの社会保障は、みんなの税金を預かる行政の責務です。人に寄り添う温かい気持ちを、実効性の高い施策として明石から「始める」、そして、明石からさらに全国に「広げる」。

35頁・2022/02/16 10:41

・すべての人が暮らしやすい優しいまちに向け、さらに積極的に、さらに加速して施策を展開していきます。

・(2)時代に応じた予算のシフト・全国の自治体が取り組んだ地方創生、「まち、ひと、しごと」の創世で言うと、明石はとりわけ「ひと」に焦点を当て、重点化しています。地方分権、地方の時代になり、全国一律、横並びで同じ、という旧いお役所仕事の時代は終わりました。地域のことは地域で。前例を踏襲し、漫然と続けることに疑問を持たずに済んだのは、遠い過去の話です。首長の判断、市の施策が地域の未来を左右する時代なのです。

・地域の特性と強みを生かし、時代と市民ニーズに応える。もっともな理屈ですが、実際に「暮らす」を重点化し、予算を大きくシフトしていくのは容易ではありませんでした。

・明石は決してお金持ちのまちではありません。同規模の自治体と比べ、財政規模も大きくはなく、むしろ貧しい方です。右肩上がりの時代も終わり、国に財源を期待することは出来ません。近年は全国各地で大規模な自然災害も多く、市民ニーズも多岐にわたるなかで、財政に余裕がなく、財源確保に苦慮している自治体がほとんどではないでしょうか。

36頁・2022/02/16 14:33


・それでも明石は、子供部門への予算を大幅に増やしました。

・私が市長に就任する前、2,010年度の当初予算は126億円でした。年々増額を重ね、2,018年度は219億円。2倍近くまで増やしていきました。

・この間、一般会計全体の歳出は1千億円前後で推移しています。子ども予算の占める割合も、全体の1割程度であった比率が、2割を超える水準にまで増えています。

・総額が大きく変わらないなか、子供予算に100億近くをシフトしています。全体の1割にも相当する半端ない額です。徐々に増やしたとはいえ、小手先の見直しでは、到底生み出せる額ではありません。

・みんなで決めたまちのビジョンの実現に向け、強い覚悟で取り組んだ、といえば美しい話ですが、実際は全く違います。簡単なことではありませんでした。シルバー民主主義といわれる時代に、子供に重点を置くのです。公共事業、補助金ばらまき型の成長戦略から脱し、政策の柱が「子供」へと転換するのです。まさか本当に予算をシフトするとは思ってみなかった層に取っては、かなりの衝撃だったのではないでしょうか。子ども施策が本当に人口減少の克服や地域経済の向上につながるのか、最初は相当違和感を覚えた過多も多かったのではないかと察します。

37頁・2022/02/16 14:49


・ですが私には、強い信念と確信がありました。普段は声をあげることなく明石で暮らす大多数の中間層、サイレントマジョリティにしっかり目を向け、光を当て続けました。「子ども」と言い続け、子ども・子育て施策を拡大したのです。様々な抵抗があったことは、容易に想像がつくことと思います。特に最初の数年間は大変厳しく、風当たりも相当強いものがありました。

・お金がないから出来ない、というのは単なる言い訳です。しない、という選択肢はありません。やるべき事は、はっきりしています。どれだけ反対されても、あきらめる気など全くありません。考えもしませんでした。

・「誰ひとり置き去りにしない社会を作りたい。そのためには世の中を変えるしかない」との想いでこれまで生きてきたのです。NHKのディレクターになり、弁護士になり、衆議院議員になり、社会福祉士を経て、ようやく生まれ育った明石の市長になったのです。他の分野より先に、子どもの予算枠を優先して確保することにしました。

・私が市長になった当初は、市にはお金がない、と聞かされていました。ならば、高齢者施策から予算を回すしかないのではないかと思い、市内の全地域で高齢者の方々を対象にして市長懇談会を開き、自ら直にお願いして回りました。

38頁・2022/02/16 15:04


・しかし結果は散々、どこでも総スカンでした。当時は市民から全く理解が得られなかったのです。

・どうしたものかと思い悩み、身動きできず、思うように進展しない状況が、最初の2年ほど続きました。

・でも、しばらくして、お金がないというのは思い込みに過ぎないのではないか、ということに気づいたのです。お金がないのではなく、別のところで使われてしまっていただけだったのです。

・市民に不便を強いるのでなく、まず、旧態依然とした役所の無駄の削減から始めました。行政がいかに頑張っているかを示さなくては、市民が納得するはずがありません。職員の数を1割、200人を減らすことにし、給与も一律4%減らしました。

・仕事の仕方を改善したことに加え、市営住宅を見直し、下水道整備計画に基づく予算を総額600億円から150億円に削減するなど、公共事業も抜本的に見直しました。各種補助金も精査するなど、あらゆる施策の意義を問い直し、別の部門から予算をシフトしていきました。本気でやりくりすれば、使えるお金を見つけることが出来るのです。


39頁・2022/02/16 18:43

・何とか工夫を重ね、予算を確保し、議案も通すことが出来、ようやく施策を実行に移すことが出来るようになっていきました。でも、不満の声は依然として数多く聞こえてきました。特に最初の頃は、大っぴらに反対されるのも珍しいことではなかったです。若い世代を中心に人口が回復してきても、子ども施策の効果だとは受け取ってもらえません。周りからもなかなか理解が得られませんでした。

それでも徐々に、子どもに重点を置いた取り組みは、市外や県外から注目されるようになってきます。出生数が回復に転じ、住宅需要が増え、商店街に賑わいが戻ると、次第に風向きが変わり、以前は反対していた層からも賛同する声が聞こえてきました。

・さらに、明石駅前に子ども・子育て施設、市民図書館がオープンすると、まちの空気が一変しました。成果が身近に感じられるようになり、「こどもを核としたまちづくり」が、ようやく認められるようになったのです。

・今江は人口増や地域経済の好況など、市の進めてきたまちづくりの成果がハッキリ見える化し、効果がさらに加速するにつれ、明石の施設を評価する声が高まりました。わずか数年で、まちの状況は大きく変わりました。

40頁・2022/02/16 15:37


・「子ども」に大きく予算を割り当てることが、明石では「当たり前」のこととして定着したのです。

・(3)適時、適材、適所の組織人事・本気で子ども施策を実施するため、予算の確保に合わせて、組織体制の強化を図りました。総職員数は削減する一方で、重点分野である子ども部門への増員は不可避です。それも単に人数を増やして済む話ではありません。心ある人、意欲ある人だけでは不十分です。本当に子どものための施策を継続するには、知識や経験のある専門性の高い人が必要なのです。

・このため、従来のお役所型の人事を脱し、「適時、適材、適所」をモットーにした柔軟で迅速な人材配置への転換を断行しました。

・従来は年1回、4月だけの定例人事異動が慣例です。私からすると、理解しがたいことでした。役所の人事に合わせて仕事が発生するのではありません。重要課題には迅速に対応するのが当然です。野球でも、サッカーでも状況次第でメンバー交代するのは「当たり前」です。なぜ途中で適材適所、人を変えないのか、納得できる合理的な説明は得られませんでした。

41頁・2022/02/16 15:50


・役所の慣例を無視し、年度途中でも毎月のように人事異動を行うことにしました。職員はびっくり仰天です。公務員の世界では、考えられないことだったのです。市議会にも驚かれました。このことを知った他の市区町村からも、未だに驚かれています。

・子どもの数が増え、保育所の待機児童の問題が深刻化するなか、2,016年度には次の年度が始まる4月をまたず、1月に人事異動を行いました。6人を動かし、急務である保育所の定員枠拡大に着手したのです。併せて組織体制も換え、アタ谷待機児童緊急対策室も設置しました。3ヶ月も漫然と放置することを良とせず、すぐに解決に向け取りかかったのです。

・子ども部門の職員数は、私が市長に就任する前、2,010年度の当初は39人でした。施策の拡充と共に、年度途中でも適時、組織改編を重ね職員を増やしていったので、2,018年度の夏には103人になりました。

・単に人の数を増やしただけではありません。長年の慣例になっていた年功序列にもメスを入れました。今後に期待を持てる若手や女性を抜擢し、課長や部長に積極的に登用するなど、人事改革を進めていきました。

42頁・2022/02/16 16:11


・加えて、専門職を全国から公募し、現場で働く一般職員として採用しました。専門性を発揮し、行政職の仕事も担う一般職員です。

・まず弁護士を一挙に5人採用しました。顧問弁護士ではなく、弁護士資格を持つ常勤職員です。法令を根拠に妥当な解決を図る能力は、市民相談、市が絡む訴訟など、法務、総務部門だけでなく、子育て、教育、福祉など幅広い分野の現場で役立ちます。

・当初はお互いに戸惑いも見られましたが、市民も職員も即時身近に相談が出来、効率も大きく向上しました。今や弁護士職員は、全国100以上の自治体に広がり、自ら企画立案し施策する地方分権の時代に欠かせない存在になっています。明石では現在、7人の弁護士職員が各分野で行政職と机を並べて働いており、2,019年春からは10人に増やす予定にしています。

・専門職は一般職員数の枠内で採用するので、職員総数や人件費を増やすことなく、市民サービスが向上します。


43頁・2022/02/16 16:28

・全体の数%の少人数であっても、専門性の高い人材が知識やノウハウを伝えることで、一緒に働く職員全体のレベルの底上げにもつながっています。子ども、教育、福祉や本のまちづくりの取り組みにも採用枠を広げ、弁護士だけでなく社会福祉士など、専門職は2,018年夏ですでに32人になりました。

・児童相談所の設置や里親の拡充など、全国に先駆けた取り組みは、国の各省庁からも応援を得て施策を推進しています。これまでの緊密な連携を発展させ、中央省庁から実務を担える経験者の派遣を受けてきました。現在は厚生労働省、法務省、防衛省、文部科学省、国土交通省から6名が明石に来て、各分野のキーパーソンとなり、市の職員として活躍しています。

・そもそも私が明石で先駆的に進めてきた取り組みは、国が進めようとしていることや、やって欲しいことの先陣を切る形がほとんどです。時代の要請と違う方向ではありません。時代のニーズ、市民ニーズに向き合ってきただけなのです。これまで実現できていなかった施策を明石で具体化し、着実に成果を出し、普遍的な施策として他の自治体にも広がるように取り組んできたのです。

・加えて、シティセールスの分野では、電通をはじめとした民間の業界大手とも連携し、経験豊かな現役の社員を派遣してもらいました。

44頁・2022/02/16 16:46


・すでに複数の企業から複数の企業から優秀な人材を受け入れています。市の常勤職員として先頭に立ち、能力を発揮しています。

・職員総数を削減するなか、国や民間企業からの派遣など、専門職は職員全体の2%近くになりました。重点分野子ども施策、福祉施策をはじめとして、ソフト施策中心に市政のあらゆる分野で専門能力を発揮し、一般職員と同じ立場で働いています。オールマイティな一般職と、高度な専門性を持つ専門職が、ともに連携してチームで市民の期待に応える組織体制へと変革してきたのです。

2,018年には中核市に移行し、県から2千にも及ぶ権限が委譲され、これまで県が行っていた業務を身近な市が担うことで、よい質の高いサービスを迅速に提供することが出来るようになりました。保健所を自前で運営数ので、新たな専門職が必要でした。任意設置の動物愛護センターも開設しました。児童相談所も全国で9年ぶりに新設し、国基準の2倍の人員を配置します。このため、全体で新たに100人以上の大幅な人員増が見込まれていました。

・ですが、数年前から逆算し、専門職を効果的に採用・配置するなど本気で事務の見直しを断行することで、結果としては総職員数を1人も増やすことなく、移行を無事完了しています。

45頁・2022/02/16 17:02


・現行人数内ですべて対応したのです。むしろ総職員数は、例年の削減を継続している状況です。

・専門職を有効に活用し、必要な能力、意欲を持ち、心ある職員を適時、適切に配置することで、職員を全く増やすことなく、新たな市民サービスを行う組織体制に移行してきたのです。

・中核市移行後も立ち止まることなく、さらなる権限と責任を担い、より一層自立した自治体運営を進めていく所存です。合わせて、将来にわたり持続可能なまちづくりを支える組織体制へと、さらに強化をし続けています。

・(4)広報戦略・今の時代、対象層や情報内容を意識して、どの行政機関も独自に効果的な広報に努めています。ホームページ、SNS、アプリの活用や、ポスターや地域での回覧など、様々な手法を組み合わせますが、私が最も力を入れているのは、月2回発行の定期広報誌「広報明石」です。

・「広報明石」は、市民にはおなじみの長年続く新聞です。以前は役所のお知らせごとを寄せ集めた、文字が中心の2色刷の紙面でした。市が自ら発行する配布物なのに、大変もったいないことをしているな、と残念に感じていました。

46頁・2022/02/16 18:14


・市内全戸への配布で、月2回、確実にここの市民の手元に届くのです。普段あまり役所に来ることのない普通に暮らす多くの一般市民にも、市のまちづくりをしっかり伝えることができるのです。こんな確実な手段を活用しない手はありません。市の施策への理解と信頼を深める大変重要な機会です。市長に就任してから、全面的な見直しを行いました。

・まず、毎回必ず特集記事を組むことにしました。「市の特色ある施策特集」、「子ども食堂の全小学校区への設置」、「里親100%プロジェクト」、「移動図書館の拡充」、「知己総合支援」、「厚生支援」、「共生支援」や「SDGS」など、市の重点施策への理解が深まるよう、紙面を見やすくカラー化し、写真や図表を使い分かりやすく説明を心がけています。

・とりわけ、真面目に働き、普段は市役所で見かけないサイレントマジョリティ、大多数の中間層にも市の姿勢と今の動きのポイントを的確に理解してもらえるよう意識して、

47頁・2022/02/17 6:22

・特集のテーマは市長自らが設定しています。そして毎回、必ず時間を確保して、直接細部まで監修します。


・まちづくりの理念、真意が明確に伝わり、市民と共有出来るよう、本気でメッセージを発信し続けているのです。ですから一面には市長の顔写真や名前でなく、市長の「まちづくりの思い」を込めて届けています。私から市民への月2回のラブレターなのです。

・まちの目標の共有で大切にしているのは、明確な分かりやすいメッセージと数値目標を設定することです。

・明石は地方創生の目標として、「子ども」と「文化」に重点を置いたまちづくりを端的に表す三つの数値目標を掲げました。

・「人口30万人」、「赤ちゃん3,000人」、「本の貸出冊数300万冊」。私はこれを、明石のトリプルスリーと名付けました。本来のプロ野球のトリプルスリーが意味するところと同様に、どれも容易に達成することが困難な高い目標です。


48頁・2022/02/17 7:10《現在日時》


・みんなで取り組む

 

 

(しゃかいてきほうせつ)あるいは ソーシャル・インクルージョン ( 英: social inclusion )とは、社会的に弱い立場にある人々をも含め市民ひとりひとり、排除や摩擦、孤独や)

明石市長・

https://youtu.be/s9bDPXIAsYc

2/15/20222022/02/16

7:072022/03/11 7:29



 

96頁・2022/02/19 15:5297頁・


3章、やさしい社会を明石から、

私たちは普段から、10人のうち9人が良ければOKと言う多数決的な発想に馴染んでいます。とりわけ行政は、平等、公平と言いながら、少数者が困っていても、結果として多数を優先するだけにとどまってしまいがちです。

・でもしょうするだから、と放置するのは大きな間違いです。100人のうち99人が大丈夫でも、1人が困っていれば助ける。「誰一人置き去りにしない」ことは、日本や世界各国が合意したSDGSの根本にある理念です。困っている人には寄り添い、個々のニーズを適切に汲み取り、みんなで総合的な支援を継続するのがこれからの共生社会のあり方です。

共生社会の実現とは?具体的に何をする?私たちにできることは | みんなの障がい | 全国の障害者・福祉福祉施設が見つかるポータルサイト (minnanosyougai.com)11/7/2023 9:07:58 AM


・誰もが人生で常に多数派に属するのではありません。予期せぬアクシデントに出くわし、どこかで少数の側となることは誰にでも起こり得ます。総ての人は多数派と少数派、両方の可能性を併せ持って暮らしているのです。

・多数派のための施策は、ある人が少数派に転じた時、その人を対象外にして排除してしまいます。どこかで任意の線を引いて分断することで、いつも誰かを置き去りにしているのです。

・本当にやさしい社会を望むなら、みんなが尊重される社会であるべきです。市民一人ひとりを「分け隔てない」発想で町作りをすれば、誰にとっても居心地のよい社会に近づくのではないでしょうか。

99頁・2022/09/27 7:24


・障害の責任も社会の側にある

・街中に段差があり、車椅子の方が入りたいお店には入れない時、その方の機能障害や、車椅子に問題があると捉えていたら、「仕方がないから諦めて下さい」という発想になり、誰かを排除してしまう状況が起こりかねません。

・でも、スロープを設けるなど実際の段差をなくす、あるいは、みんなで車椅子を持ち上げるなど何らかの工夫をすれば、段差の問題を乗り越えることが出るのです。段差が存在することを、誰かを排除する理由にしてはなりません。

・しかし現実は、民間の飲食店などで入り口に段差があり、車椅子の方が入れない場合でも、大がかりな改修などの必要があるなら、すぐに対応出来るとは限りません。障害者が行きたいところにいけないとを民間のお店、ましてや障害者を持つ当事者や、家族や、支援者の責任に委ねてしまっては、なかなか問題の解決には至らないと思います。

・障害者が困難に直面するのは、その人に障害があるからではなく、社会環境に様々な壁が存在しているからです。

100


・障害者が暮らしにくいのは、社会環境の問題です。社会こそが「障害(障壁)」を作っており、それを取り除くのは社会の責務というのが日本も締結した国連の「障害者権利条約」の考え方、いわゆる「障害の社会モデル」の考え方です。

・社会課題を解決し、みんなが暮らしやすい社会にしていくのは、みんなの税金を預かっている行政の責務です。もちろん国も重要ですが、市民に一番身近な基礎自治体にこそ責任があります。

・つまり、車椅子でお店には入れない人がいて、その段差を解消する責任は、市長である私にあると思っています。

・街中の段差の解消は、車椅子の方のためだけの施策ではありません。ベビーカーの親子や、お年を召した方など、広くみんなに役立つ施策です。

・お店の入り口が入りやすくなれば、評判も上がり、お客さんが増え、売上増など経済的利益にもつながります。みんなのお金でみんなのために、行政がきっちりと責任を果たすことで、市民も、お店も、行政も、みんなが笑顔になる町になるのです。

・胸を張って手話を使える社会に

101頁・2022/09/27 7:58


・学生時代、障害者の支援活動を通じて、ろう者を取り巻く環境がひどいことを知りました。手話を必要とする人が手話を使うことを禁じられ、言葉を奪われていたのです。1990年代頃まで、ろう学校でさえ、手話を禁止して口を読ませ(読話)、音声を出せセル訓練をしていました。教師も手話を使わず授業をするので、生徒は授業の内容が全く分からないまま、座らされているだけというような状況の学校もあったくらいです。

1995年に司法試験に合格して司法修習生になった際、手話への理解を拡げていきたいとの思いから、司法研修所の修習生仲間に声をかけて、手話サークルを立ち上げ、ろう者の方々も招いて交流の機会を持ったりもしました。しかし、「弁護士や裁判官になるのに手話など要らない」と教官から言われ、始末書まで書かされました。ろう者と関わることはありますし少しでも手話を知っておく方がいいとの思いでしたが、当時はそんな冷たい状況でした。

・それから20年近く経ち、今、市長として手話施策の充実化に走り回っています。全日本ろうあ連盟の協力を得て、「全国手話言語市区長会」を立ち上げ、事務局長として「手話言語法」の制定を国に働きかけたりもしていますし、足元の明石市においても、段階的に取り組みを進めているところです。

全日本ろうあ連盟 » 全国手話言語市区長会 令和5年度総会について (jfd.or.jp)

102


・まず、ろうあ者が適正に情報を得られていない状況を改善し、声を上げることが出来るよう、「手話言語を確立」するとともに、他の障害者もふくめてみんなの「情報コミュニケーションを保障」していくところから始めました。

・その最初の手話言語条例の部分と、次の手話も含めた情報・コミュニケーション保障促進条例の部分、二つの段階を合わせた全国初の条例をつくったのです。

・その条例の制定を受け「手話言語の確立」の観点からは、市内全小学校での手話教室の実施、職員の手話研修会や手話検定受検の助成、視覚障害児とその家族への早期支援などを実施しています。

・また、「情報コミュニケーションの保障」の観点からは、手話を含めた障害者の多様なコミュニケーションを促進するため、まず手話通訳士を2名、正規職員で採用しました。現在職員は7名となり、政策立案を兼務する職員もいます。

103頁・意思疎通支援者(手話通訳者・要約筆記者)派遣事業の要綱も改正し、派遣制限をほぼなくしました。手話でも文字でも利用できる電話リレーサービスや、市役所に手話や文字で電話をかけられるシステムも導入しています。

日本財団電話リレーサービス|特設ページ| (nftrs.or.jp)


・全国の自治体で初となる手話フォンも交通結節点の明石駅前に導入し、成田空港や羽田空港を上回る利用実績が続いています。

・加えて、市からの郵便物の点字化や、市の資料の「わかりやすい版」を作成することなど、きめ細やかな取り組みを進めているところです。

・ろう者の市議会議員誕生

・条例策定の検討委員に、先天性のろう者の家根谷敦子さんもいました。家根谷さんはその条例を作る中で、これからの明石のまちづくりに関わりたい、自分も役割を果たしたいと、市議会議員への立候補を決意したそうです。

104


・「耳が聞こえないのに議員の仕事が出来るのか」という心ない声にも怯まず。手話による演説で「明石を変えたい」「障害者の代表ではなく、市民の代表になる」と訴え、20154月、統一地方選挙で見事当選となりました。全国初の先天性ろう者の市議会議員の誕生でした。

・家根谷さんが他の議員に負けないくらい勉強し、市民の代表として活躍していることは、今や誰もが認めるところとなりました。戸惑っていた他の議員の見る目が「頑張っている家根谷さんは、自分たちの仲間や」に変わり、口コミで市民に伝わり「聞こえなくても仕事が出来るらしい」と評価が変わりました。

・まさに一人の当事者の勇気がまちを変えたのですそれまで無理と思われていた議員活動が、ろう当事者にも出来ると身をもって証明したのです。明石市議会の議場では、常時、手話通訳者がいるのが今や当たり前の風景となりました。

・家根谷さんの当選直後、テレビ局からコメントを求められ、私は思わず「(家根谷さんの当選させた)明石の市民を誇りに思います。」と口にしたのを覚えています。

105頁・2022/09/27 9:35


・当選者が主人公

・次の段階では「障害者配慮条例(明石市障害者に対する配慮を促進し安心して暮らせる共生のまちづくり条例)」を制定しました。国の障害者差別解消法と異なり、「差別解消」ではなく、敢えて「配慮促進」の文言にしています。

・条例の策定で強く意識したポイントが三つあります。当事者が主人公であること。当事者が主人公であること。当事者が障害の種別を超えて仲良くなること。そして、まちの理解を得ることです。

・(私たち抜きに、私たちのことを決めないで)」。国連の障害者権利条約の策定過程で使われたこのスローガンは、まさに当事者の思いを代弁しています。

・条例の検討委員会のメンバーには、当然様々な当事者が加わり、一堂に会し、直接意見交換することで、異なる障害の当事者の間でも相互理解を深める大事な機会となりました。

・市の担当者も全国公募の結果、内閣府で障害者差別解消法の実務を担っていた車椅子使用者の方に決め、東京から引っ越してきてもらい、障害者当事者施策を作る態勢を採りました。

106


・さらに、商工会議所や商店街連合会など、普段は福祉に関わらない事業者にも、最初の段階から参加してもらいました。

・産業振興と福祉で予算を奪い合うのではなく、障害者施策をまちづくりとして進めることで商売繁盛にもつながるというストーリーを描き、まちの理解を深め、取り組みを進めたのです。

・合理的配慮の提供支援で町の風景が変わる

20164月の「障害者配慮条例」の施行に合わせ、障害者への配慮を確実に提供するため、民間への費用助成制度もつくりました。「合理的配慮への公的助成」です。みんなの税金を預かる行政が、みんなのために助成し、支援する制度を開始したのです。

・合理的配慮とは、単に思いやりある対応をすることだけではありません。その前に障害者が社会参加するための環境整備が前提です。その環境が整った上で、過度な負担にならない合理的な範囲で、ここの障害者が必要とする適切な対応へと個別に配慮することです。

・民間のお店や事業者は、経費負担で躊躇せざるを得ないこともありますが、市が助成をすれば、積極的に応えてくれます。明石では行政が民間のお店や事業者に呼びかけるだけでなく、全国初の公的助成により、民間と行政が一緒にやさしいまちづくりを全国に先駆け進めています。

107


・助成の対象は点字メニュー、コミュニケーションボード等の作成費用、折りたたみ式スロー ブや筆ボードなどの購入費用、簡易スロープや手すりなどの工事の施工費用などです。

・最初の1年間で150の申し込みがあり、今では300を超える飲食店などが活用していま。一か所に数千円から20万円の公的助成で、明石駅構内のショッピングセンターや駅前ビルの ほとんどのお店が筆談ボードを置き、メニューが点字化されました。段差解消のための簡易ス ロープ、折り畳みスローブを設置するお店も増えつつあります。明石駅周辺から、徐々に市内全域に広がっています。

・今は明石駅改札前のスターバックスにも筆談ボードがあります。 それを知り聴覚障害者がコーヒーを飲みに行き、これがきっかけと なり、ありがとうと手話で言いたくて、手話を学び始めた店員さん もいるそうです。

3章 やさしい社会を明石から

・筆談ボードを使い、コーヒーにいろいろとトッピングができるこ とや、麺の太さに選択肢があることを初めて知り、驚いた聴覚障害者います。

・108頁・11/7/2023 10:36:31 AM


・何年も通っていたのに。これまでは注文のときに聞かれたことがなかったか、聞かれていても分からなかったのです。公的助成によるボードを利用したことで、初めて正しく認識でき、ようやく選択することが可能になったのです。

・簡易スロープの設置は車いす利用者だけでなく、ベビーカーを使う子ども連れの家族や高齢者も助かっています。お店も自腹を切らずにイメージアップになりました。来店しやすくなり、お客さんが増え、店は繁盛。障害者だけでなく市民全体が助かり、飲食店も客足が伸びの評価も上がるという、まさに近江商人の経営理念、三方よしの原則どおりになりました。

・みんながWin-Winになる制度設計とがポイントです。 誰かに任せて他の誰かを幸せにという方法では、持続可能な制度にはなりません。どうすればみんなが笑顔になれるか、これこそが行政の腕の見せ所です。

・最初にこの制度を利用したのは、条例制定に関わった商店街連合会の会長さんのお店です。飲食店組合や食品衛生協会の会長さんのお店にも、広報紙などに登場してもらい、PRに一役買ってもらっています。

・109頁・・


・こうした普段福祉に携わる業種でない方々にも積極的に参画いただくことも大事なポイントです。自分たちに求められているのは、そんなに難しいことではないと気づき、費用もかからない、大きな負担ではないと理解をしていただけたことで、利用は一気に広がり、まちの風景が一変していきました。

・障害者団体が一つの組織に

・障害者配慮促進条例の検討委員会を経て、障害者の各団体がまとまり、一つの大きな組織ができたことも大きな成果です。以前は、それぞれの団体がそれぞれの要望を主張するだけで、まどまる気配はありませんでした。

・しかし検討委員会を重ねるごとに、互いの理解が深まり、条例が制定される頃には、障害者団体で一緒に考えようという気運が高まりました。そして、明石市障害当事者団体連絡協議会、通称「あすく」という一つの協議会になりました。

・これは画期的なことです。本来は差別を受けている人の痛みを一番理解できる立場のはずなのに、今も多くの障害者団体ごとになかなか一つにまとまることができていません。障害当事者が非常に弱い立場に置かれ、行政からの支援と引き換えに、無な要求しかできなくなっているようにも感じられます。それではまともな活動はできません。

・110頁・11/7/2023 10:48:28 AM


・障害者団体が自分たちの置かれた状況を愚痴り、文句をつけるだけでなく、自分たちが頑張った結果、何かを成し遂げることができたという成功体験、これが大きな力になります。障害者が一緒に手をつなぎ、社会を変えていく活動につなげなければ状況は改善しません。市民の理解を深めることも必要です。

・そのきっかけとなる大きな動きが起きました。JR明石駅のホームドア設置の運動です。

・まちを挙げてホームドア設置へ

JR明石駅では20151月、ある一人の医師が停車しようとしていた列車と接触し死亡する事故が起こりました。さらに翌年8月には、東京の地下鉄丸ノ内線・青山一丁目駅で、盲導犬を連れた視覚障害者が線路に転落して亡くなりました。そのニュースに接し、私はすぐに明石駅にホームドアをつけるようと思いました。

・時を同じくして市の視覚障害者団体から市議会に「明石市内の各駅にホームドアを設置するきかけを求める請願書」が提出されました。これまでになかった動きです。全国でも明石だけで はなかったかと思います。

・111頁・


・これまで明石にホームドアが設置される予定は全くありませんでした。にもかかわらず、 請 市議会の全会一致で採択されました。障害当事者自らが立ちあがり、議会の理解と賛同を得 たことは、実現に向けた極めて重要な一歩となりました。

・続いて署名活動が行われ、視覚障害者団体だけでなく、聴覚障害、知的障害、精神障害などの団 体も参加しました。障害者団体がみんなで一緒に行った初めての活動です。結成したばかりの「あすく」が、個々の組織の垣根を超え、横につながった初めての経験です。

112頁・11/7/2023 11:03:54 AM


みんなで明石駅を中心に署名活動を展開し、すぐ1万人以上もの署名を集めました。ホームドアを利用するすべての人に関係しています。短期間での多くの著名数に、市民の関心の高さも現れました。

・みんなで集めた署名を持って国土交通省の大臣や副大臣、政務官に会い、JR西日本本社にも 行きました。主人公である視覚障害者団体会長、障害当事者団体連絡協議会「あすく」の代表を中心に、市議会議長、商工会議所の会、そして市長の私です。

・まちを挙げた取り組みは見事に実を結び、念願のホームドアが明石駅に設置されることが決定しました。

・自分たちの請願署名活動によってホームドアが設置されること、それも短期間に成果が出たことで、障害者団体の意識も大きく変わりました。これまではそれぞれの団体ごとに行政と関わっていましたが、これからは横の連携も必要だということを改めて認識できたのです。

・113頁・


・行政の補助金をあてにする発想ではなく、一緒に汗をかき、一緒に知恵をしぼり、施策を提案していく時代です。机上で抽象論を語っていても、前には進みません。当事者自らが横の連帯を深め、成功体験を積み、まちの理解と応援を得ていくことが肝心です。明石はそれをみんなで具現化してきました。

・市議会や商工会議所にとっても、自分たちが動いた結果、ホームドア設置が実現したことは誇りです。まち一丸となって動き、その成果を実感することで、それぞれのエンパワーメントにつながったと思います。

・すべての市民を、まちのみんなで

・子ども施策 障害者施策で注目されることも多いのですが、「誰も置き去りにしない」ことは、 私も含め世界が目ざす共生社会の理念です。子どもにやさしいまちは、高齢者にもやさしいまち、との思いで施策を展開してきました、年齢性別に関係なく、支援が必要なすべての人に対して、その人が必要な支援を実施していくのは当然のことです。

・ただ、高齢者を年齢だけで一括りにはしません。 障害者は日常生活や社会的な活動に支障があり、支援が必要です。

・・114頁・11/7/2023 1:28:39 PM


・子どもも成長過程で支援がる点では同じです。しかし、高齢者の誰もが支援を必要としているのではありません。高齢者という3文字で一括りにせず、「要支援高齢者」支え手に回っていただく「元気高齢者」のそれぞれに応じた対応をとるようにしています。要支援者」には、地域と一緒に見守り、認知症サポーターによる支援、一人暮らしの高齢者への提供 「元気高齢者」にはボランティアの拠点の提供など、活動のため応援をするようにしています。

2018年には、9月明石市高齢者福祉月間と定め、75歳以上を対象に、認知症の検査費用を助成する新たな早期支援制度を全国で初めて開始しました。

・チェックシートで認知症の疑いがあれば、初診料の上限2千円を補助します。さらに検査が必要な場合は、MRI画像診断などに上限5千円を助成します。医療費の自己負担が1割の高齢者受診費用の全額をカバーできます。

・認知症と診断されたら、居場所が分かるGPS端末の基本使用料かタクシー券を渡し、地域の見守り支援につなげています。

・多くの自治体が国に介護保険制度のさらなる充実を訴えたりしていますが、 明石市は発想を転換し、地域のみんなで、支援が必要な人をきっちり支えていける制度を明石市独自でつくっていく方向に切り替えています。

・115頁・


・同じく2018年には、子ども、障害者、高齢者を一緒に地域で支援していく地域総合支援センターを市内6か所に開設しました。

・専門職による総合的で幅広い相談体制を整え、個別訪問にも対応し、ここを拠点に、地域福祉 あるべき姿を実現しようとしています。

・支える場所が地域であれば、より早く、より手厚い支援ができます。高齢者とあわせて子どもや障害者も支援をしたほうが、家族全体の支援になり、総合的な支援につながります。コストも安く済むのです。本来、厚生労働省が制度設計すべきことを、明石市が先行して始めているのです。

・被害者支援と更生は車の両輪

・犯罪被害者と加害者。相反するようですが、私の中では分かちがたく結びついています。どちらも子どもや 障害者などと同様、支援が必要なのです。

・明石市は全国に先駆け、「犯罪被害者支援」と、罪を犯した人の「更生支援」に取り組んできました。 障害者支援だけでなく、犯罪被害者支援も、更生支援も、市のセーフティネットの施策の柱です。

・116頁・11/7/2023 1:45:25 PM


・こうしたテーマに関心を抱くきっかけは、弁護士時代に直面した日本の現実です。まだ駆け出しの頃、愕然としたことがいくつもありました。

・一つは、離婚のときに子どもの声を聞く人が誰もいないことでした。子どもにこそ弁護士がつくべきでは、と思ったものです。

・また、犯罪被害者を放置していることにも大いに驚きました殺人事件などを担当し、被疑者側の弁護士としてご遺族のお通夜に行くこともよくありましたが、被害者遺族の側には誰も相談する人がいない状態だったのです。法律の知識もなく、何をしていいか分からない状態で放置されていることに怒りすら感じました。

・日本では当時、裁判ときに被害者遺族が法廷の中に入れず、いったい誰のための裁判かとい状況でしたが、他の国では一定程度、被害者が意見表明をできるようになっていました。その頃から、犯罪被害者には、寄り添う人がいて然るべき、それは公が担うべきだとの考えです。

・さらに触法障害の多さにも大変驚いたものです。 刑事弁護を担当していると、明らかに知的障害ある人が、それに気づいてもらえず決を受け、刑務所に服役していました。

・117頁・


・そして再犯を繰り返し刑務所リピーターになっていました。これは本来、司法ではなく福祉が対応するべきテーマのはずです。この思いが罪を犯した人の厚生支援施策につながっていきます。社会の理不尽さへの強いが私の出発点です。

・端的にいえば、犯罪被害者をなくすには誰も被害に遭わないようにすればいいのです。被害者を生まないためには、加害者を出さないことです。それには現在の高い再犯率をどう下げるかが課題です。一度罪を犯した人が、再び罪を犯さないようにする。あるいは、再犯までの期間が少しでも長くなり、犯す罪が以前よりも軽になれば、被害者の数が減り、被害も軽減されます。

・しっかりと更生支援をすることは、再犯防止になり、ひいては犯罪被害リスクの低減になります。

・被害者と生支援、この二つは誰もが安心して暮らせる まちづくりのためであり、両方とも社会がしっかりと取り組むべきテーマです。どちらか一方が大事で、どちらかが欠けてもいいというものではなと思っています。

 

・118頁・11/7/2023 2:12:03 PM


・日本社会はこれらの問題にいまだにしっかりと向き合えていません。

・当事者目線の犯罪被害者等支援

・明石市の取り組みは、自治体でできることはすべてやる総合支援です。居住の安定につながる 家賃補助や転居費用補助など経済的な支援、育児支援、介護支援、家事のヘルパー派遣など日常生活の支援 弁護士による法律相談、臨床心理士による心のケアなど、さまざまな支援を条例に盛り込み、幅広い総合的な支援を行っています。

・全国初の損害賠償金立替制度もつくりました。裁判で陪償金の支払いを命じる判決が出ても、実際に全額が支払われることはほとんどありません。加えて、支払わない加害者に対し、誰も取り立てをせずに放置されてきました。

・そこで、市が被害者遺族から損害賠償請求権を譲り受け、300万円を上限に「立替支援金」として支給し、代わりに加害者から求償するという制度を全国で初めて導入しました。さらに、賠償請求権がが時効などで失われるのを防ぐため、その後の条例改正で再提訴の費用を補助する制も導入しました。

・119頁・


2018年の条例改正では、未解決事件の被害者を支援する「真相究明支援」を全国で初めて取り入れるとともに、基本理念に「被害者家族(兄弟姉妹)への配慮」や「性犯罪被害者支援」も追加しています。

・被害者支援を考える際にポイントとなるのは「支援の目的」と「支援の主体」です。すなわち被害者支援は誰のために、何のために実施するのか、そしてまた、被害者に対して誰が責任を果 たすのかという問題です。

・被害者支援は、すでに起こった犯罪の被害者遺族のためだけの施策ではありません。誰も希望して被害者遺族になるわけではありません。意に反して、いつなんどき、どこの誰が被害に遭うかは分らないのです。

・「もしものときに市民を置き去りにすることなく、社会全体で支え合う、市民みんなのためのセーフティネットを構築するのが被害者支援の目的なのです。

・120頁・11/7/2023 2:33:43 PM


・明石はそんなに犯罪が多いと聞かれることもあります。犯罪が多発しているから対策するのではありません。すべての市民が安心してることを保障するためです。犯罪被害はあらゆる人がいつなんどきか分からない市民が対象となるリスクです。人ごとどころか、明日は我が身です。このリスクを人や家族が負うのではなく、社会全体でカバーする、みんなに必要な社会保障です。

・このため「支援の主体」は行政です。被害者でも、加害者に責任を押しつけるのでもなく、みんなのための社会保障ですから、行政が担うべきです。被害者家族の生活に寄り添い支援していくのは、市民に最も身近な基礎自治体が主体です。

・加害者が再犯しないことは、被害者を生まないことにつながります。車の両輪で、両方大切です。私は 市長になる前から、明石で被害者支援をしている被害者遺族とともに刑務所を訪れたりもしてきました。

・理不尽な境遇に置かれた被害者遺族の思いを真正面から受け止め、社会ができる支援をする。 それは被害に 遭った方々のためだけでなく、市民すべて、まち全体にとって必要なことなのです。

・121頁・


・つなぐ、ささえる、ひろげる

・更生支援は国や法務省だけの問題ではありません。犯罪が起こる場所は地域、罪を犯した人が戻ってくるのも地域、それを支えるのも地域です。

・厚生に必要とされる生活保護必要とされる生活保護の支給や介護保険、障害福祉サービスの支給などの福祉的支援の決定は、自治体が行います礎自治体が支援の主体であり、積極的に取り組むべきなのです。

・明石市は2016年から更生支援の取り組みを試行的に行ってきました。翌年には新たに更生支援担当「つなぐ、ささえる、ひろげる」の三つを柱とした事業を推進してきました。 法務から2名の職員を迎え入れ、国の応援を受けて取り組んでいます?

3章 やさしい社会から

・「つなぐ」は関係です。厚生支援ネットワーク会議を立ち上げ、市を中心に検察庁、警察、矯正施設、保護観察所、弁護士会関係者会37の機関・団体で情報交換し、今後のあり方や取り組みを進めています。

・122頁・11/7/2023 2:48:55 PM


・「ささえる」では障害福祉、介護サービス、生活保護などの「福祉的支援」、関係機関・民間企業と連携した「就労支援、地域の関係者と連携して見守りをする「地域支援」の三つの側面か支援しています。

・ひろげる」は 市民への啓発活動です。「あかし厚生支援フォーラム」の開催、刑務所作業製品の展示販売などの「えきまえ矯正」の実施での支援の特集などを通して、理解が深まるよう努めています。

・「おかえりなさい」が言えるまち

・再犯を繰り返す人の中には、軽度の知的障害の方もいます。刑務所の入所者の4割ほどが該当するとされますが、本来早い段階にあるべき支援がないまま、万引きを繰り返し、刑務所のリピーターになってしまっているのです。

・本人にとって不幸であるばかりか、家族にも、社会にもあまりに大きな負担です。世間では知られていないようですが、司法手続きの時間もコストも莫大に費やされているのです。

・123頁・


・受刑者一人当たりの年間経費は300万円とも言われます。100円、200円の万引きで「刑務所のリピーターになると、10年で3000万円をみんなで賄うことになります。30年、40年になれば、1億円の税金を万引きや無銭飲食を続ける人のために費やし続けるのです。これほど社会にとってデメリットばかりなのに、放置され続けています。

・罪を犯した人を社会が「おかえりなさい」と迎え入れ、再び罪を犯さないようにする。支援することで被害者を生まないことにつなげ、社会に復帰した人が支え手になることは、みんなに望ましいことです。社会の根幹にかかわる重要なテーマなのに、日本では長い間、この分野が放置され続けてきました。

・寛容さは共生社会の根底にある理念です。対極にあるのは、ルールを逸脱した人に「あっちへ行け」「帰ってくるな」という排外主義です。ひとたび罪を犯した人を受け止められるか、一人 ひとりの意識が問われます。

3章やさしい社会を明石から

201812月には、明石市において全国初となる「更生支援・再犯防止条例」が市議会で可決され、メディアなどでも大きく報道されました。

明石市条例パンフレット.pdf (rilg.or.jp)

・124頁・11/7/2023 3:08:37 PM


・を犯した人も包み込み、仲間として一緒に暮らしていくやさしいまちづくりに、明石市はすでにスタートを切っています。そして市民会も、市議会も、この支援の取り組みを理解し、応援してくれているのです。

・やさしい社会を明石から

・少数者の支援は、くぼんだ部分を戻すような要素があり、本人もあまりひと目につきたくないかもしれません。目立たず。成果も見えにくいかもしれません。何人の市民が対象か、そんなところにお金を使い、まちにどんなプラスがあるのか、もっと他のことにお金と労力を充てろ、という反発もありえます。

・しかし少なくとも、明石はすでにそのハードルを越え、かなり先へ進んできたと思っています。

・少数派への施策に見えても、実は市民全員に関わることで、一人たりとも見捨てない、支援の責任は社会にあり、行政が責任を持ってやる、という大義を掲げ、お金も人も使い、そのことがまちの発展につながると訴えてきました。

・福祉はお金があるときにすればいい。 お金がない時代には、福祉になっても仕方がなという声も聞かれます。

・125頁・


・ですが、お金がないときこそ、すべての人に寄り添い、みんなから預かった金でみんなを支接するまちをつくる。それが市民の暮らしを支え、持続可能なまちの発展につながるはずです。

・みんなの金を預かる行政が、みんなの社会保障をリードする時代です。社会のみんなで、いつまでも助け合えるよう、行政は本気で、最優先すべきこの責務に真正面から向き合うときです。

・私は施策を進めるだけでなく、推進体制でも発想の転換を図りました。一般的な役所では、まず政策、財務など企画部門の人事が先に決まり、福祉は後回しというところが多いそうです。でも、明石は違います。優秀な人材を祉部門に配属しています。なぜなら、子ども、高齢者、障害者、生活保護、どの部門も一人ひとりの市民に寄り添う個別の対応が必要な、公務員の仕事の中でも高度な業務だからです。

・目ざしてきたのは、大きなまちでも、お金持ちのまちでもありません。やさしいまちです。困っている人がいれば、いつでもみんなで助け合える。そんなやさしいまちです。こうしたまちづくりの目標として掲げている「やさしい社会を明石から」「明石から」には二つの意味を込めています。

・126頁・11/7/2023 3:34:19 PM


・一つは、国を待つことなく、率先して明石から「始める」ことです。時代や市民のニーズがあれば、国も、他の自治体も、日本のどこも実施していなくても明石は始めます。結果として全国初の取り組みも多いのですが、そこに支援が必要な市民がいるから、現場のニーズを身近に把握できる基礎自治体の立場であたりまえのことを速やかに実施してきただけなのです。

・もう一つは、明石から全国に「広げる」ことです。明石の施策はマニアックな施策ではありません。世界基準のSDGsの根本理念でもある誰も置き去りにせず、いつまでも、みんなで、 助け合う」取り組みそのものです。

・普遍的な理念で制度設計をしているから、将来にわたり続けることができ、全国どこのまちででも、同様の施策が可能です。条例として定めるのも普遍性をもたせるための手法です。

・誰も置き去りにせず、ずっと住み続けたいと思えるまちづくり、人に焦点を当てた「やさしい 社会をつくる施策を優先して実施してきたからこそ、明石のまちは発展してきているのです。

4章 本のまち、明石・126頁


11/7/2023 3:52:40 PM



 

子どものまちのつくり方明石市の挑戦 単行本–2019211泉 房穂 ()

第五章、発想の転換による自治体経営・145頁・・174頁まで、

11/6/2023 6:43:41 AM


2022/12/26 15:16146


・お金が無い、人がいないと言いますが、漫然と施策に予算をつぎ込み、しなく体もいい仕事を職員に任せているから財政難になり、人手が足りなくなるのです。

・こうした分野の予算を削れば、お金は出てきます。優先すべき施策に先に予算を確保し、それ以外のお金は、本当に必要な施策から

順番に予算を付ければいいだけです。そうすれば、人も余ってきます。

・重点分野に人を移動し、次の他の分野にも順に職員を配置すればよいのです。職員がそこに配置されていることを理由に、漫然と従来の業務を続けるようでは、お金も人も、いくらあっても足りなくて当然です。

・必要なら発想の転換。それを実行する強い意志と行動です。

・広く世界に我が町を位置付ける

147頁・2022/12/26 15:27


・私は自分の町の行政区だけでは無く、もっと広い範囲を意識しています。明石の高校生も毎年のように東京の大学に行くという現象があるからです。その後地元に帰ってくるかどうかも含め手広く長く意識しています。自分の市域の地図だけで無く、日本国内、少なくとも東京までの地図は、しっかりと見なければなりません。もちろん関西全域は必須で、大阪、京都、奈良ぐらいまでは範囲内と考えています。そこから観光客が訪れますし、引っ越ししてくる人がいるのです。

・その中に明石市を位置付けてみれば、フルパッケージの施策は必要ないことが一目瞭然です。

・交通網が発達し、東京は日帰り圏となり、情報化も進む中、単独の自治体の行政区域だけで物事を考えても意味がありません。単独ですべて賄うという発想では無く、広い圏域に我が町をどう位置付けるかが重要です。課外が糸のつながりも日常のことですから、当然、世界地図も視野に入ります。

148頁・

・江戸時代に城下町だった名残か、明石藩も時代と同じ感覚で、一つの行政区域ですべてを担わせなければいけないという思い込みから、商業、工業をはじめフルパッケージの施策を求める声もあります。

・しかし、明石のような海沿いの狭い町が単独で大企業を誘致をするのは無理があります。「働く」なら大阪、神戸が存在するのです。娯楽や観光は、京都、奈良の名所や大阪のUSJがあります。明石が単独で観光や産業などを含めたフルパッケージの施策を漫然と続けることは、今の時代、もはや合理的とは思えません。

・市民の生活圏や周辺地域の特性も踏まえ、現実的な役割分担を容認し、ある分野は周辺地域に委ねる。明石の強みと限界をしっかり認識した上で、独自の施策展開をする方が現実的です。

・全国各地で、我が町ですべてをやらなければ、と言う「思い込み」から脱し切れていないのでは無いでしょうか。だから中途半端に施策体系を維持するだけになり、特色ある有効な施策を打ち出しにくいのだと強く感じています。

149頁・2022/12/26 15:59


・必要なのは、日本全体での立ち位置を認識し、時代状況をシビアに捉え、自分のまちを客観的に判断すること。それを受け入れ、現実に正しく即した施策を採る事です。

・そのためには、フルパッケージ施策が必要との思い込みや、単なる全国一律の発想から脱却することが不可欠です。

・市民に最も近い行政は「市」・

・住民に身近な自治体職員の仕事のあり方も、発想の転換が求められています。職員をサンタクロースに例えて説明します。

・サンタ(=職員)は、子どもたち(=住民)に、国からあてがわれたプレゼントを渡すのが仕事です。サンタ1人に子どもが30人います。コレまではチョコレート90個、ビスケット60枚、キャンディ30個が下りてきました。サンタは、チョコ3個、ビスケット2枚、キャンディ1個ずつ配れば全員に行き渡ることを確認し、イベント会場に子どもたちを集め、数を間違いないように渡します。一つも多く渡したり、同じ子に二度渡したりしたら大変です。与えられた分を忠実に、公平に渡します。ここに創意工夫は要りませんし、楽しくもありません。これがかつての自治体の職員の仕事でした。

150


・ところが今や、国からの配給はどんどん減っています。チョコレートは中途半端な70個になり、ビスケットはたったの20枚、1人に1枚行き渡りません。次第に減り続け、子ども30人にお菓子は全部足しても30個に届かなくなります。それでもプレゼントを渡すのが仕事です。

・どうすればいいのでしょうか。例えばビスケットを半分に割り、1枚を2人に分ける。あるいはクイズ大会を開催し、勝った子から順番に好きな物を選んでもらう。いろんな工夫が考えられます。今の自治体職員の仕事に求められるのは、まさにこうした知恵と創意工夫です。

・これまでは国に言われたことを忠実にこなすだけでした。国からのプレゼントを待っている住民へのパイプ役に過ぎませんでした。しかし今、渡すものは少なくなりましたが、住民たちの顔を見ながら、どうすれば喜んでもらえるのか、自分で創意工夫することが許されるようになりました。

・住民にどのようなサービスを、どんな方法で提供するのか、実行するのが仕事です。厳しいことでも辛いことでもありません。これが本来の姿です。これまで単に決められた分配をするだけだったのが、自治体がいつ配るのか、あるいは届ける・配らないも含め、方法も選べるのです。非常にやり甲斐があり、楽しみのある仕事に変わったのだと、職員に伝えています。

151


・未だに国の指示を待っていれば何か素晴らしい設計図が来るかのような、幻想を抱いている職員もいるかもしれません。そんな時代はとっくに終わっています。全国津々浦々に適応できるような設計図を期待してはいけません。待ったところで、追加のチョコやビスケットが支給されるわけではありません。

・限られた手持ちの資源を有効に使い、どのように現場で対応するか、発想と行動を切り替えることが不可欠なのです。それが出来れば、これほど楽しく、やり甲斐のある仕事は無いと思えるはずです。

・住民に最も身近な市区町村こそが、市民と直接向きある醍醐味と、やり甲斐を感じることが出来ます。国が一番偉く、次が県、一番下が市区町村という序列で発想をするのは間違いです。一番住民に身近な存在は市区町村です。住民の気持ちをダイレクトに感じられる現場にいる市区町村が、全国の国民に直接サービスを提供しているのです。しっかり現実を認識し、誇りと責任を持って行動すべきだと職員には機会あるごとに伝えています。

152頁・2022/12/26 17:53


・その施策に普遍性はあるか

・意識しているのは、施策の普遍性です。私が市長を辞めた後も続く、時間的普遍性です。そして明石以外の町でも出来る、空間的普遍性です。決して市長の思いつきでマニアックなことを次々に打ち出しているわけではありません。

・時代や市民ニーズに応えたテーマ、特に今後も継続し、より高まってくる分野で求められている適切な施策であれば、当然ながらその施策は普遍性を持ち、誰が首長であっても、どこでも安定的に続いていきます。

・このことは我が町の特性を認識し、それに特化することと矛盾しません。地域の特性と、普遍性のある施策は両立します。自分のやっていることがどれほど普遍性を持つのか、そのことを意識せず、中途半端に漫然と毎年同じ事を繰り返し、隣のまねをしていることが大きな問題なのです。

・私は子育て支援に特に力を入れていますが、働く場所に通えるエリアだからこそ、子育て支援を重点化することで人が集まるのです。通勤圏では無いところで同じ事だけをしても効果は見込めません。自分の地域に何が必要なのか、ここにリアリティを持って施策を考えていかなければなりません。

153


・各自治体で職員が発想の切り替えを意識できていないなら、大きな問題です。明石の施策はユニバーサルな理念に基づいており、どこでも適用できますし、今すぐに実施すべきないようだと思っています。でも、すべてがそのままで適用できるわけではありません。兵庫県内だけでも日本海側から瀬戸内の淡路島まであり、全域に一律に適する施策は限られて当然なのです。

・基盤整備などは、全国一律にある程度の合理性はありますが、福祉などの個別救済的な分野になると、地域ごとに状況が大きく異なります。国に期待して無駄に待つのでは無く、自分の足元をよく見つめ、現場に即した仕事にすぐに取りかかるべきです。全国の自治体が発想の転換を遂げたら、日本の社会は随分変わってくるでしょう。

・発想の転換とやりくり次第で、今ある財源と人で普遍的な施策を十分実施できること、間違いが大きく発展することを、明石市は数字と、市民の実感を持った成果として明らかにしていますすべての子どもへの普遍的な施策を継続すれば、町に好循環が生まれ、拡大していくのです。

154頁・2022/12/27 6:58


・日本の近代化に見る時代の変化

・全国的に見ると、今の政治や行政は時代の変化に追いついていません。大きな変化にきちんと向き合い、市民にしっかり責任を果たしていく発想の転換がまだ十分出来ていないのです。私はこのことを強く意識して、実際に打つ手を選択しています。だからこそ明石の施策は普遍性を有しています。発想を切り替え、これからの自治体のあり方、町づくりのモデルとなり得る施策を実施しているのです。

・大きな時代認識で言うと、日本で大きな社会変化が起こった明治維新以降、近代化を支えた重要な要素が、大きく四つあったと思っています。

・まず「全国一律の制度設計の必要性」と、都市基盤整備、いわゆる道路や橋、上下水道などの「広域ハード整備の必要性」です。この二つは江戸幕府から中央集権国家に移行するに当たり、絶対に必要な要素でした。

・そして、それら二つの必要性を優先し、家族ニーズを後回しにしても構わないだけの地域の強さ、「大家族制や村社会のセーフティネットの存在」があったのも大きな要素です。さらには、中央政権による地方支配の継続を可能ならしめる「右肩上がりの成長」、すなわち人口増と、それに伴う財政増が担保されていたのも極めて大きな要素です。しかし、もはやいずれも過去の社会の姿なのです。

155


・これらが既に大きく変化してしまったのが、今の現実の社会です。これらの古い価値観から脱却し、発想を転換してこそ、次の時代につながる町づくりが出来るというのが基本となる考え方です。

・二重構造と三層構造の都市制度・

・江戸時代は、中央の幕府と地方の藩の二層構造で行政運営をしていました。それがある程度安定して機能し、二百数十年に渡る幕藩体制が続きました。

・ところが明治になり西洋文化が流入し、一気に中央集権体制を目指すことになります。市制町村制の導入時1万六千近くあった全国の各地域に向けて、中央政府が直接指示を出すことは非効率です。

・地方と中央の間に、中間管理職として位置付けられたのが都道府県です。政府が下の47に指示すれば、中間にいる47は各地域に指示を伝える構造です。

・中央政府は都道府県に対し、各地域に10の仕事をさせなさいと指示し、10の財源を配ります。たとえば、兵庫県にある41市町それぞれに10のことをさせるには、国は兵庫県に410のお金を渡します。県は各地域に10ずつお金を分配すればいいのです。

156頁・2022/12/27 7:38


・お金と一緒に、プラモデルで言えば組み立て図とパーツに当たる物も、国から全部来ていました。都道府県の仕事は国から指示されたことを忠実に下ろすことで、市区町村の仕事は、お金とパーツを使い図面通りに組み立てることです。そこに創意工夫は要りません。「全国一律の制度設計」に基づき、「全国一律の制度設計」に基づき、津々浦々、画一的な処理こそが当時望まれたことです。個々に判断するなど、勝手なことは許されませんでした。

・税制、教育制度など、あらゆる制度がスピーディーに、しかも全国で一律に実施できるという点では、国・都道府県・市町村の三層構造は、非常に合理的でした。「右肩上がり」の人口増と、それに伴う財政増が続く成長時代に適していたのです。藩ごとに分かれていたインフラを、一気に全国につなぐ「ハード整備」にも、都道府県に一定の権限を持たせて中央の指示に従わせるシステムが有効でした。

・ここに、お上に従うと言う文化が幅をきかす要因があります。金を握って命令する国が偉く、次が都道府県、その下に市区町村という上下関係のもと、市区町村は与えられたお金で指示された通り忠実に仕事をすることが求められる時代が続いてきました。

157


・大家族制・村社会のセーフティネット

・こうした時代でも、個別の救済は当時の村社会が受け持っていました。私の家は漁師でしたが、もし知的障害の子が生まれたら、その子はやはり漁師になりました。学校の勉強が得意で無くても、力仕事が出来れば網を引けばいいのです。また、かつて漁師の世界では、捕った魚を、能力では無く人の頭数で均等に分ける文化がありました。障害があってみ、一生食い扶持には困らない実質的な所得保障が成り立っていたのです。

・ひとり親の場合も同じで、例えば、長男が戦死した後、弟が兄に代わって再婚して夫になり、その妻と子どもを養うというようなケースがもあったくらいです。私の父も姉の旦那さんが亡くなりましたので、姉の子どもが小学校の頃から、私の父が親代わりを務めました。大家族では、そのようにひとり親家庭支援が行われていたりもしたのです。

・障碍者の所得補償も、離婚や死別などのひとり親家庭の扶養や支援も、第一次産業中心の大家族制・村社会のコミュニティにおいては、ある程度支えていけるだけのセーフティネットが張られていたのです。

こうした基盤があったからこそ、個々の市民の立場よりも、従うべきはお上という文化で日本社会は成り立ってきたのでしょう

158頁・2022/12/27 8:17


・しかし、状況は大きく変わり、従来のままの方式が続けられる時代ではなくなりました。

・四つの要素はすべて変化した。

・最もいい気な影響は人口減少と財政難による物です。これまでは10の仕事に10のお金が確保できていました。仕事が11に増えれば、国が11のお金を用意しました。増えた仕事の財源と設計図が用意できたのです。

・ところが右肩上がりの時代が終わり、人口は減り、財政が厳しくなると、国は10の仕事に10のお金を用意できません。すると、9のお金を渡し、お願いする仕事は5だけで、後は地方の方で判断を、とならざるを得ません。

・明治維新から続いてきた、財源の裏付けを持って中央政府が命令を下し、全国一律に仕事をさせるシステムが成り立たなくなっているのです。

・地方の裁量、判断と言われるのは、裏返せば国が自治体にお金を渡せないと言うことです。渡せないので最低限のことだけを決めて、後は地方で、と言わざるを得なくなったのです。右肩上がりの時代が終わり、財源の裏付けが出来なくなり、もう元には戻りません。

159頁・2022/12/27 8:28


・あわせて、全国どこでも同じ制度設計に基づいて取り組む必要性も薄れました。むしろ各地域の人口構造、産業構造など、特性や実情に応じた施策展開へとシフトしています。道路や港湾に莫大な税金を費やす時代では無く、新設から維持管理ハード整備からソフト運用へと次の段階に移っているのです。

・地域のセーフティネットも崩れました。産業構造が変わり、漁業、農業中心の社会では無く、村社会の所得保障は成り立ちません。大人数の中で力仕事だけをしていれば言い時代では無くなり、障害者もサラリーマンとして稼がねばなりません。しかし、雇用主・被雇用者の関係にある労働環境では、障害者の所得保障は困難です。社会全体で生活保障をしなければならない時代なのです。

・一人家庭もそうです。兄が死んだら弟がその嫁と再婚するような社会はとっくにありません。かつての大家族制が途絶え、「公」による支援が必要なのです。

・かつての日本社会は、「法は家庭は入らず」「民事不介入」、行政や権力は、家庭の問題に関わらない方が望ましいという価値判断をしていました。

160頁・2022/12/27 9:13


・これは世界でも珍しいことです。これが成り立っていたのは、実質的に地域社会、大家族が小さな国家のような存在で、セーフティネットを張っていたからです。

・それが崩れ、法は家庭に入らざるを得ません。民事不介入のままでは子どもの命が危うく、実際に事件も起きてきています。が家族や個人に直接的に関わる時代が到来しているのです。

2000年には介護保険制度がスタートし、児童虐待防止法も制定されました。それまで、介護や児童養護などは、あくまでも「民」の領域、プライベートな問題でした。それが社会化され、公」の問題に変わりました。

・このときを境に、個別救済、一人ひとり市民ニーズに、ようやく行政が向き合う時代が始まったというのが私の認識です行政が責任を果たすべき時代はとっくに来ているのです。

・明治維新以降の右肩上がりの時代に有効であった全国一律の制度設計、ハード整備の必要性が薄れ、地域社会のセーフティネットも崩れ、地方のことは地方に任せる方が望ましい時代に変わりました。

・国にお伺い立て、都道府県から市区町村へと指示された仕事を粛々とやる時代は既に終わりました。どちらが「上か下か」では無く、どちらが「住民により近いか」へ、発想の転換が必要です。お上に従う文化から、市民により近いところで責任を負う文化の時代が来ているのです。

161頁・2022/12/27 9:27


・住民に一番近いのは市区町村です。もっとも遠いのは国です。地域特性を踏まえず、ただ従うだけの時代ではありません。最も住民に近い市区町村が、しっかりと住民ニーズに向き合い、行政目線では無く住民目線で、地域に即した施策を実施する事が町の未来の望ましいことなのです。

・自治体に求められる仕事の仕方も、これまでとは明らかに違います。漫然と指示を待つのでは無く、むしろ自ら現場に行き、ニーズを捉え、そのニーズに即した対応を柔軟かつ迅速に行って行くことこそが求められているのです。

・リアルな標準家庭像を持つ

・認識に大きなずれがあるのが、いわゆる標準家庭の捉え方です。

・例えば厚生労働省などが示してきた標準家庭像は、「お父さんはバリバリ働き収入安定、お母さんは専業主婦で時間に余裕。子どもは二人、男の子と女の子で、共に元気で明るい子、しかも家族はみんな仲良し」みたいな家庭です。「そんな家族、どこにおるねん」と関西弁で突っ込みたくなります。高度経済成長の直前、農村漁村社会から都市型都市型サラリーマン社会への移行期に描かれた旧い家族像です。しかも性別役割分担が色濃く反映された旧い意識のモデルなのです。

162

・実際に存在するかもしれませんが、今までにこんな前提で福祉行政をしているのが、そもそもの間違いです。今の実情とかけ離れた古い価値観でもあり、これらが既に大きく変化してしまったのが、現在の社会です。総中流意識から格差社会へと言われる中、標準家庭像が今の現実とずれているので、未だに法は家庭に入らず、行政は関わらずに何もしない方がいい、と言うことが続いてしまうのです。

・私の標準家庭のイメージは、こうです「お父さんは収入不安定で、たまに暴力。お母さんはパートを打ちきられ、心を病みかけ。子どもは不登校がちで、しかもネグレスト状態。家の奥にはおばあさんが半分寝たきり。生活費として借りたサラ金の返済に追われ、生活困窮」。

・実際のところ、弁護士時代にそのような家族からの相談を毎日のように受けてきました。家族で支えきれず、助けを求めている家庭は、問題が一つの分野にとどまらず複合するケースが多いのです。

・この家庭の支援には、お母さんの就労支援も精神的な心のケアも要ります。子供への支援、おばあさんの高齢者支援も要ります。お父さんへのサポートや、家族の生活支援も必要です。この五つをパッケージにしてこそ、それぞれが有機的に機能する支援になります。このため、縦割りでは無く連携して取り組む、これが総合支援的な発想です。

163

「公」が家庭を支えることは、個別の市民ニーズに応えることにもつながるという考え方を、明石ではかなり徹底させてきました。それぞれの状態に応じた有効な支援を市民が適切に受け取ることが出来るようにするためにも、発想を転換し、リアルな標準家庭像を持つことは、絶対に必要なのです。

・国に頼らない自立した財政

・個々の市民ニーズに応えるには、財政の問題を避けては通れません。要は、市民から集めたお金を、誰が、どう使うかです。

・もし人が個々単独のままで成り立つ社会があれば、それは弱肉強食の世界です。しかし現実の世界は、それぞれ応分の負担を伴いながら、みんなで支え合う社会として成り立っているのです。

・人は一生「個」だけで生きていけるわけではありません。子ども時代が大変長く、生まれる前から親や周りの支援なくして生きられないのです。ですから助け合いが発達し、誰もが支え合いの中で生きているのです。

・みんなで支え合う社会は、負担をどうするか、が重要なテーマです。誰から、どのように出してもらい、出し合ったお金をどう使うか。まさに政治、行政の役割です。

164頁・2022/12/27 13:39

・より多く出し合えば、負担は重くとも多くのことが可能になります。一方、出すお金をより少なくすれば、出来る範囲は限られます。例えばサークル活動で、月500の会費を5,000円にすれば、出来ることは大きく広がります。負担をいくらにするかは、何をするかとセットになっているのです。

・負担と受益は密接な関係にあります。しかし日本社会では、そこを見えにくくしています。国と地方の関係でもそうです。いったん国にお金が召し上げられ、国からお駄賃をもらうような制度になっているのです。

・これは自立した経営は困難です。これを抜本的に変え、お金は地方がしっかり集める、と言うのが私の基本的な考えです。高負担とは言いませんが、私は中負担・高福祉派です。低負担では出来ることが限られます。今は基礎自治体の役割が大きい時代です。少なくとも中程度の負担が望ましいと考えています。中程度の負担に知恵や工夫を加味することで、高い市民サービスを身近に提供していくことが、市区町村の役割だと考えています。

・ところが現在の財政制度では、地方が努力をすると、逆に地方交付税を減らされます。子ども医療費助成などで各自治体が独自の市民サービスを付加すると、ペナルティとして補助金を減らされるのです。財源を工夫して独自施策をしても、かえって財政が圧迫され、非常に由々しき事態です。

・165頁


・ただ、それを愚痴っていても仕方がありません。私の場合、お金がないから市民サービスが出来ないという発想はありません。今ある限られた予算の中でも、何とかやりくりし、実施してきました

・中央省庁に行っても、私が助成金の嘆願をしないので驚かれます。ほとんどの首長はお金をくださいと言いますが、私は、「お金など入らないから文句を付けるな」です。本来は国がすべきことを、今あるお金で先行して実施するので、邪魔をしないで応援してくくれればいいのです

・国から助成をより多くもらいたい、引き出したいという発想に、多くの市長が未だに囚われています。それでは自立した自治体経営は困難でしょう。助成金額る法が助かりますが、国に過度に依存せず、やりくりするのが首長の手腕であり、今の時代の自治体経営の有り様だと思います。

・組織再編で体質改善

組織も順次再編し、2017年にようやく、14部局(113部)の縦割り組織を一気に5局に集約しました。

166頁・2022/12/27 14:13


・組織は政策、総務、都市、福祉、市民生活の5局です。

・単なるスリム化だけが目的ではありません。意思決定、人事、予算、そして市民理解、この四つをしっかり連動させるには、組織再編が不可欠でした。

・政策、人事、予算を同じ部署に置く自治体は少なくないと思います。明石もこれまでは政策部が戦略、人事は総務部、予算を財政部で所管していました。各部門がバラバラでは、整合を取り、施策を迅速に実施するのは非常に困難です。再編して、政策局に政策決定と人事と予算を揃えました。広報もありますから、まさに総合戦略本部です。

・167頁・


・大きな方向や戦略を決め、それを実行する人事と、必要な予算を確保し、市民理解を得る広報の政策特集を作成する部門を集約したことで、縦割りの連携不足での停滞をなくし、一貫性のある迅速な町づくりを行えるようになりました。

・集約の効果は、業務の見直しや財政健全化にも現れました。以前は前例踏襲で、漫然と仕事を続ける風潮もありましたが、145に集約し職員の数を減らしたので同じやり方で続けていてはとても回りません。必然的に見直しを迫られます。

・「必ずすべきこと以外は、「した方が望ましいこと」を優先度に応じて、「どちらでも大丈夫なこと」無理せず、「あえてしなくてもいい」事は速やかに止める、と意識と行動の改革につながりました。

・働き方とお金の使い方が変わり、それが新たな予算の確保、市民サービスの充実と向上につながり、メリットは非常に大きいと感じています。

168

・ただ、役職とポストが減りますから、当然組織内の強い抵抗はありました。普通は組織の抵抗が強く、なかなか実現出来ないかもしれません。もっと早い段階で実施するはずが、実現まで結局6年もかかってしまいました。

・無駄の削減とコスト感覚。

・市民の理解を得るため、お金が無いことを理由にするのでは無く、まず徹底した無駄の削減に取り組みました。公共事業は緊急性に欠ける事業から、大幅に削っていきました。

・職員の数も減らし、総人件費を10億円削減しました。一方で一人あたりの仕事の質を高め、仕事は増やしています。中核市に移行し100人ほど新たに職員が必要になるところでしたが、増やしていません。これにより100人分の人件費が浮き、10億円の予算が生まれました。人事にしっかり切り込み、仕事の仕方を変え、予算を生み出すことにしたのです。

・次に私が行ったのは、先に財源を確保する方法です。市の目玉施策に使うので、最初に全体の1%、20億円を確保し、残りで予算案を作成するよう命じるのです。明石市ぐらいの規模だと、20億円あればかなりの市民サービスの実現が可能です。

169頁・2022/12/27 14:38

・財政健全化には、不断の経営努力が不可欠です。コスト感覚について、自分のお金と同じように大事にするよう職員に厳しく言っています。あえて決済をしない手法もとります。決裁書類が上がってきても簡単に判を押さず、漫然と上げてきた場合は断固切ります。

・例えば近年実施した明石駅前の再開発は、市だけでもおよそ100億円の負担をした事業です。市民の税金を無駄にしないために、知恵を絞りました。

・市役所機能の3分の1を移転する案を10分の1以下の面積に集約し、狭くても市民サービスは向上させ、コンシェルジュが丁寧に案内する窓口に変更しました。生み出した空間は「本」と「子ども」施設に入れ替え、国の補助金が約30億円に増えました。

170


・その一部で本と子どもの大型遊具をそろえたのです。市民負担を大きく減らしながら、市民の望みをかなえ、まちの活性化に寄与した実績は、財政健全化の一つの象徴となりました。

・明石駅の東側には別の再開発ビルもあります。私が市長に就任した時、経営補填で市が毎年14,000万円の補助金を出していました。さらに市の貸している約100億円の返済を年10億円から半額に減らし、改修費の10億円も出して欲しいと言われました。

・でも、トップダウンで方針を転換し、経営努力を迫った結果、今や補助金は何とゼロになりました。わずか数年で補助金無しで経営できるようになったのです。毎年の返済額も減らさず10億円が戻ってきています。改修費も一銭も出さず、工面して完了しました。

・実態を調べると、それまではテナントに逃げられないよう言われるがままに年々賃料の減額交渉に応じていたのです。賃料を適正にするよう指示し、テナントの入れ替えを命じるなど毅然と対応したことで、わずか6年で経営は黒字になりました。

・空きが目立つ駐車場も埋める努力をせず、近隣の駐車場業界に忖度し、意図的に満車にならないようにしていました。そのせいで市民の税金で14,000万円を補填していたのです。私は不動産関係の業界団体などに気を遣う必要がありませんので、気を遣わず普通にしろと命じたら、その結果、駐車場の経営も黒字に転じました。

171頁・2022/12/27 15:08

・私が命じたのは「民間並みの経営努力をすること」だけです。本気で腹をくくって自助努力するようになると、1億のお金が浮いたのです。普通にやれば14,000万円の補助金は要りません。10億円も返ってきます。改修費もかかりません。これは、やれば出来ることなのです。

・全国どこでも同じ事が起こり得ます。要らぬ顔色を伺い、潰してはいけないという思い込みから、漫然とみんなの税金を無駄遣いして、努力無き赤字経営を続け、自分たちのお金ではない、税金などどこかからわいて出てくるとの悪循環に陥ってはいないでしょうか。

・みんなから預かっているお金です。みんなのために適正に使う。正常な経営意識で取り組むようにするだけで、億単位の財源が出てくるのです。

・これは一例で、私は行政のあらゆる無駄にメスを入れてきました。手っとり早いのは不採算部門を潰すことですが、潰されるとなれば、みんな必死に経営努力をします。単にハコモノつくり、作ったら潰すなどでは、財政が甘くなり、ひずみが出るのは当然です

172


市民に向き合った判断をすれば、財源はまだまだ出てくるでしょう。腹をくるり、潰れても構わないくらいの覚悟で最後までやりきるという首長の思いが行政全体に浸透すれば、職員もサイレントマジョリティを見て仕事に取り組むようになります。

・市民はちゃんと見ています。行政が一生懸命にやっていることを感じてこそ、応援につながるのです。信念を曲げることなくやり続けることです。それが市民に信頼され、指示もされ続ける事になるのだと思います。

・「公」を担う心のあり方

・何でも官から民へ、で済むのではありません。一人ひとり、お互いに支え合わなければ生きていけない社会です。みんなの税金でみんなを支える「公」は不可欠で、その働きは尊いのです。

・「公」が担うべき社会の責務はこれからも多岐にわたります。本来、市民から「もっと給料もらわんかい」と言われるべき仕事です。

・私自身「公」派で、みんなのため、社会的責務を担うのが行政、との思いが根本にあります。期待が強いだけに、責任を果たしていない状況では、不満や怒りも半端なく強く、働いていないのに給料をもらう公務員は許せません。

173頁・2022/12/27 15:49


「公」を担う心のあり方として、ずっと昔から自分に言い聞かせている言葉を紹介します。「必要なのは、優しさと賢さと、ほんの少しの強さ」。

・これはチャップリンの「ライムライト」の中の台詞、「人生に必要なのは、勇気と想像力と、ほんの少しのお金」をもじった物です。凄く気に入り、いろんなところで披露しています。

「やさしさ」は想像力です。誰かの痛みに寄り添える想像力を、私は優しさと呼びます。役所の目線ではなく、市民の立場に寄り添い、市民の目線から物を見る力です。いくら頑張ったところで、他の市民と同じ人間にはなれません。また、職員が会うのは、イノジーマイノリティが多く、特定の層とばかり接していると本質を見失います。ですから、想像力の翼を広げ、サイレントマジョリティの目線で働く想像力を持つよう、いつも言っています。

・「賢さ」は、本質を見極める力です。国に漫然と従う時代ではありません。自分の地域の市民の立場に立ち、自分で判断しなければなりません。その制度の本質や現状、時代の状況をちゃんと見極め、現場対応することが出来る賢さが必要です。まさに本質を見抜く力です。

・「ほんの少しの強さ」では、「ほんの少し」がポイントです。人は強くはありません。しかし、ほんの少しの強さなら誰でも持てると思うのです。

174頁・2022/12/27 16:17


・「強さ」は、社会や制度を変えていく勇気です。解決に向き合う力、困難から逃げないことです。自分が市民のためと思っても周囲の理解が得られないかもしれません。でも、すぐにも諦めず、仲間を増やし、市民のため努力を重ねること、それを私は強さと表現しています。

・よく「裸の王様」を例に説明します。王様自身が綺麗な服を着ていると信じ込んでいるので、みんなは裸だと言えず、誉めそやします。しかし、子どもだけは見たままに「王様は裸だ」と言ってしまいます。

・本当のことをそのまま口にすると、その子だけで無く家族も捕まるかもしれません。行動には「優しさ」と「賢さ」が必要です。目に見えた範囲だけで判断して動くのでは無く、「王様の衣装はお綺麗ですが、いつもお召しでは汚れますので、しまっておかれてはいかがでしょう」と恥をかかさないよう上手に諭し、その場を収めて解決するのです。王様の立場に寄り添うと同時に、困惑した市民の弱さも理解する賢さを持つのが「強さ」です。

・難しいことかもしれません。でも、人の弱さや悲しみを含めた強さこそ、本当に求められること思います。「優しさと、賢さと、ほんの少しの強さ」。私がこれまで大切にしてきた言葉であり、これからも大切にしていきたい言葉です。

2022/12/27 16:30

・5章・174頁・終わり・11/6/2023 10:07:32 AM


 

 

 

 

 

 

 

 

ドーム都市・

東京ドーム | 東京ドームシティ (tokyo-dome.co.jp)

ドーム都市・ - 検索 (bing.com)

ニンテンドースイッチオンラインイの加入方法を詳しく解説、 - Bing video

(3916) ★ニンテンドーアカウントの作り方 - YouTube

[ダイレクト, ダイレクト]

形容動詞直接的なさま。途中に何も介さないさま。"ダイレクトな反応" · "ダイレクトにキャッチする"7:19 2022/12/29]

「ノイジー・マイノリティの声により、本来多数派であるはずの声や、サイレントな社会的少数者の声が届かなくなり、ノイジー・マイノリティが多数意見や、社会的少数者の総意であるかのように錯覚する(させる)。ノイジー・マイノリティの主張が発信され続け認識され続・16:12 2022/12/27

「サイレント・マジョリティ(英: silent majority)とは、「静かな大衆」あるいは「物言わぬ多数派」という意味で、積極的な発言行為をしない一般大衆のこと 。 又はマーケティング用語として商品やサービスに対してクレームや意見する人が少数であることから、「発言しない大多数の物言わぬ消費者」を意味し、15:36 2022/12/27

「ネグレストとは、親または養育者から子どもに対しての虐待行動を指します。 時々ニュースなどでも目にする 「真夏にクーラーをつけず子どもを車の中に置き去りにする」 、「 育児に疲れたからご飯を与えなかった」 などの行動がそれに該当します。10:00 2022/12/27

「リアル名詞現実のこと。また,現実的であるさま。実物そのままであるさま。写実的。

"リアルに描く" 9:42 2022/12/27

「セーフティネットとは、生活する中で起こる様々なリスクに備え、最悪の事態を回避するために用意された仕組みです 。 日本語に訳すならば「安全網」となり、墜落防止のために張られるネットと同じように、万が一の時に効果を発揮する救済策を

8:07 2022/12/27

「普遍的とは、ある範囲におけるすべてのものに当てはまるさま、広く行きわたるさま、きわめて多くの物事にあてはまるさまという意味を指します。 例文としては、「生物に普遍的な特徴である」「普遍的な真理を追究する」などといった使い方です。

6:55 2022/12/27

「施策(しさく)とは。意味や使い方、類語をわかりやすく解説。政策・対策を立てて、それを実地に行うこと。政治などを行うに際して実地にとる策。

6:46 2022/12/27

船内ツアー、数十億円以上?!貨物を運ぶ大型内航船の中を特別にすべて

 

鹿児島県森林技術総合センター

 

・広く世界に我が町を位置付ける・

 

 

公共事業やバラマキはいらない。子どもを核としみんなにやさしいまちづくりが人口・財政・経済の好循環を創る。発想の転換で旧弊を廃した自治体経営、持続可能でユニバーサルな施策で時代を先導する明石市長が描く誰ひとり置き去りにしない共生社会の未来図。

2,019210日・2,020412刷り・

14頁・~21頁・令和4215日・目次・序 章 いま、明石が熱い・14頁

・1,町の好循環の拡大へ・私が市長に就任したのは2011年、市の人口は既に減少・停滞期にありました。今後も毎年1000人ずつ減少が続き、すぐにも29万を下回る事が見込まれていたのです。中長期的な人口減少は避けがたく、10年後には総人口が28万にまで減る推計です。なんとか現状を維持できれば、というのが当時のまちの空気でした。

・右肩上がりの時代は既に終わり、住民ニーズは個別化、多様化しています。これまで自治体は横並びで画一的なプランに頼りがちでした。でも、もはや全国一律、杓子定規な方式がどこまでも通用する時代ではありません。

・高度成長を前提とした旧い施策を、そのまま続けていくことは間違いです。それでは地域はますます疲弊してしまいます。以前と同じやり方を漫然と続けていては駄目なのです。広く、薄く、形式的に旧来のやり方維持することが、本当に市民のため、まちの未来につながるのでしょうか。・古い価値判断のまま、前例踏襲では済ませるのは、行政の怠慢でしかありません。行政は時代や市民に本当に必要なサービスを確実に提供しなければなりません。

・15頁・地域特性を踏まえた施策の選択と集中は不可避です。

・そこで明石では、まち作りの方向を明確に重点化し、まちの皆で共有するだけでなく、実際に重心を移しました。

・コンパクトな住宅都市の明石には、フルパッケージの施設は必要ありません。その点を強く意識し、「暮らす」に特化して施策を展開しています。重点分野を単にスローガンとして掲げるだけでなく、実際に予算も人も大幅にシフトし、まちの皆で本気で取り組んでいます。

・私は最初に「こどもを核としたまちづくり」、続いて、「優しい社会を明石から」掲げました、市民ひとりに真正面から向き合い、まずは人に焦点を当てたソフト施策を重点とする自治体運営に大きくシフトしたのです。

・困っている人を誰ひとり置き去りにしない。みんなでみんなを支える持続可能なまち作りを目指して、これまでの自治体経営のあり方を大きく変えました。

・その結果、地方都市では異例の6年連続の定住人口の増加、交流人口の増加、出生数の増加、税収の増加、地域経済の向上と、五つのV字回復を達成しています。すなわち、住む人、来る人、生まれてくる赤ちゃん、お金、まちの活気、この五つが下げ止まり、増加に転じたのです。

・16頁・22/2/14 834分・さらにこれらが相乗効果を生みました。人に光を当てたソフト施策をさらに加速することで、好循環が生み出し、拡大が続いています。

・2・五つのV字回復~人口も、出生数も、税収も~・22/2/14 838分・・(1)定住人口・明石市の人口の伸びは全国有数で、兵庫県内ではダントツで増加しています。

2017年は2,380人増、増加人数は前年の3倍以上です。十数年続いた減少期、停滞期を脱し、6年連続で増加しています。転入過多が多い市区と比べても、増加割合は関西1位、全国6位。過去最高の総人口を約20年ぶりに突破し、今も増え続けています。直近の人口は29万8,511人(2,019年1月現在)と、節目の30万人が目前に迫ってきました。

・17頁・2022/02/15 5:53・特筆すべき点は、20代、30代と4歳までの子育て世帯が増え続けていることです。2,017年には、この層が全転入者のうち85%を占めました。子供を核としたまち作りの政策効果が、はっきりと若い世代の増加に表れています。

・明石では、すべての子供を親の収入で分け隔てすることない「こども総合支援」を展開しています。世帯収入で子供を区別せず、子供自身に焦点を当て、ユニバーサルな子育てサービスを幅広く実施しているのです。低所得層の貧困対策だけでなく、大多数の中間層にも光を当てる未来施策です。この子供の、子育て施策への共感が広がり、若い世代、中間層の転入が爆発的に増え続け、明石の人口は大きく伸び、加速しています。

・(2)交流人口

・市内で最も人が集まるのが明石駅周辺です。海沿いを国道2号、JR神戸線、私鉄の山陽電鉄が並ぶ県下でも有数の交通結節点です。駅のすぐ北には、築城400年を迎える明石城、開園100年を迎え県下2位の集客施設である明石公園を有する歴史ある地です、ここから南端の明石港までの一帯が、昔ながらの城下町として栄えてきました。

・周辺地域の核として長らく賑わいが続きましたが、戦後の復興を経て、時代の移り変わりとともに古くからの商業ビルは衰退し、空洞化に向かいました。

18頁・よくある地方都市の駅前と重なる光景です。

・平成に入り、ようやく再開発が始まります。駅前に住宅と複合施設を一帯整備し、公共スペースには複数のフロアを確保するという、よくあるパターンの計画が立てられました。

・当初は三つのフロアに市役所の3分の1が入る予定になっていました。ですが、計画内容は駅前山地の将来にふさわしいとは言えず、市民負担も多額で、策定手続きも市民の声が十分に反映されたと言い難いものでした。

・このため、市長選挙の公約として、市民ニーズに沿った内容変更、市民負担を減らすコストダウン、手続きの透明性の確保を掲げました。そして、69票差の僅差で初当選した直後、施設の建築に取りかかる直前に、駅周辺の公共スペースのあり方を抜本的に変更することにしました。行政の立場から決めてしまうのではなく、改めて全市民へのアンケートを実施したのです。

・結果は最初から思っていた通り、図書館と子育て支援施設を置いて欲しいという声が1位、2位になりました。ああ、やっぱり、と正直嬉しかったです。私が市長になる前から考えていたのと同じ、図書館と子育て支援が市民の願いだったのです。

19頁・2022/02/15 6:34・大勢が集まる中心市街地、拠点地区の駅前です。多くの市民の思い、まちの未来への展望を反映しなければなりません。市民目線に立ち返り、サイレントマジョリティの声を聞いて、何とか直前でみんなの希望に沿った内容に入れ替えることが出来ました。

・市民図書館と子供の施設、そして取り扱いサービスを拡充した総合窓口に入れ替えた効果で、国の補助も増え、市の負担額を30億円も軽減できました。こうして生み出したお金で、良書や大型遊具を買いそろえ、魅力ある人気の施設へとつなげることが出来たのです。

・自治体による再開発は期待通りにいかないケースもある中で、駅前の一等地を、行政目線ではなく市民目線で市民ニーズの高い空間にすることを決めた結果が、今、町に人と賑わいをもたらしています。

・「本のまち」そして「子供のまち」を代表する拠点施設がオープンすると、会館前に比べて、人通りが約4割も増えました。それに伴い、周辺の商業施設など、中心市街地に賑わいが戻り、大いに活気づいています。

・一日10万人以上が行き交う明石の玄関口は、「子供」と「文化を大切にするまち・明石を象徴する空間になりました。

20頁・2022/02/15 6:49・(3)出生数・生まれる赤ちゃんの数も順調に増えています。子育て世代の転入が加速し、赤ちゃんを産みたい層が着実に増えているのです。子育てしやすい環境を整備してきた効果も相まって、出生数は回復し、4年連続で増加しています。出生率も国、県を上回り、大きく上昇へと転じました。

・明石市は「すべての子供」への「世代施策」として子供相互支援を実施しています。「未来施策」なのです。誰ひとり置き去りにしません。親の収入で子供を区別することはありません。

・今、子育てで苦しんでいるのは、低所得層だけではありません。可処分所得が幻想を続ける中、中間層も決して楽ではないのです。

・少子化が課題の今、貧困対策をするのは、本質を見誤っています。多数が属する中間層も苦しいのです。サイレントマジョリティの声を聴かず置き去りにし、見捨てるような施策をとるのは間違いです。中間層にも大きなメリットが実感でき、最大の問題である経済的負担の軽減があってこそ、出生数の回復、すなわち人口減少に歯止めをかけることが出来るのです。

・ポイントは、「所得制限なし」「一部負担なし」です。すべての子供を区別することなく、必要なサービスを提供することにあります。

21頁・2022/02/15 7:29・低所得層はもちろん、所得に応じて高い税金と、高い保育料を支払っている共働きの中間層の子育てにも、高い恩恵が実感出来る施策を実施することです。

・これからの日本社会に必要で、今、市民に本当に求められている施策を実施しているからこそ、明石には子育て層が集まります。明石に来れば、子供を産むことが出来るのです。未来につながる若い世代の子育ての希望がかなうのです。

・子供を産み育てやすい施策を重点化して実施していくことで、全国的な少子化が続く中でも、出生数、出生率は回復します。明石では実際に回復しているのです。子供の数が継続して増えたことで、人口構造も安定した推移が見込めるようになりました。本気で取り組めば、必ずまちの未来につながるのです。

・(4)市税収入・2022/02/15 8:03

・子育て世代の増加に伴い、納税者の数も増えています。今どきの子育て層は、共働きを続けたい希望も多く、交通利便性が高く、子育て・教育に力を注ぐ明石に住まいを求め、どんどん移り住んできています。

22頁・2022/02/15 8:05・働く若い人が明石にマイホームを買い、市への納税者層が着実に増えているのです。明石市の施策に共感して定住し、2人分の個人市民税だけでなく、固定資産税・都市計画税を安定して納め、市の財政を長期的に支えてくれる世帯です。

・若い共働き中間層の定住は、税収の安定化、未来につながる自読可能なまち作りに直結していきます。子供施策に力を入れる事は、安定した支え手層の増加につながっているのです。

5年前に比べて、個人市民税は9億円の税収増、固定資産税10億、都市計画税2億と合わせて21億円の像です。さらに人口が30万人を突破することで、2,018年からは事業所得税で10億円増。この四つの税目で合計30億円以上の税収増になります。この財源が新たな施策へとつながり、子供施策の実施が、さらに暮らしやすい、暮らし続けたいまち作りの実施へとつながっていきます。

・(5)地域経済

23頁・2022/02/15 8:17・まちの人気高まり、近所で子供の声が聞こえるようになると、地域が活気づき、元気になってきました。若い世代を中心とした転入の大きな伸び、特に中間層の子育て世帯の増加は、新たな住宅需要の増加につながりました。新築戸数は5年間に比べて15倍へと大きく増加しています。

・商店街にも活気が生まれ、賑わいが戻りました。中心市街地では、明石駅南の再開発をきっかけに来街者が大きく増え、新規出店も年間目標の2倍増を早々に達成しています。

・公共事業や商店街への補助など、対処療法的な経営支援を行わなくても、定住人口、交流人口の増加による民需の高まりで、民間事業者が本業で儲かるようになりました。行政の支援に頼ることなく地域経済が好転してきたのです。

・明石では企業誘致や補助金による産業振興よりも、住民一人ひとりにしっかりと向き合い、誰も置き去りにしないソフト施策に重点を置いた自治体経営にシフトしました。明石では行政が本気で「子供」に力を入れることで、人口が増え、税収も増え続けています。その結果、行政が直接支援しなくても、地域経済が着実に上向き、まちに確かな好循環が生み出され、拡大してきました。

24頁・2022/02/15 10:24

3)持続可能なまちづくり

・なぜ明石は子供に重点を置いたソフト施策にシフトしたのか。大きな時代認識をベースに将来展望を描いていることを、要約してお伝えします。

・従来は親や大家族、隣近所による日常の支え合いが地域のセーフティネットとして機能した社会です。個人や家庭に関することプライベートな事項は、昔は「公」が立ち入ることのない領域でした。「方は家庭に入らず」「民事不介入」の時代だったのです。

・明石でも昔は、城下町、漁村、農村、それぞれが日常の地域社会の範囲で、今とは異なり、小さな村社会で支え合う生活が成り立つ時代がありました。

・明治維新以来、地域コミュニティや家族の絆など、村社会の良き特性である支え合い、人と人の濃いつながりが弱まり、かつての日本の良さが失われつつあります。

・次第に社会情勢が変化し、核家族化、一人世帯の増加、さらにはITかが進み、村社会型の故意人間関係が希薄になると、従来の血縁、地縁を頼りにした相互補助だけでは、立ち行かなくなってきます。

25頁・2022/02/15 10:41

・個人や家庭、地域だけの責任としてしまったら、お互いの支えきれない時代が来たのです。・長寿命化も進み、老老介護などが大きな社会問題となる中、2,000年には介護保険法が施行され、「支援の社会化」が起こりました。同じ年には、児童虐待防止法も施行されています。「介入の社会化」です。今の日本社会は、もはや地元任せのセーフティネットだけでは安心できないのが実情なのです。

・このような時代だからこそ、支援を必要とする人を、必要なときに支える仕組みが必要です。

・助け合いの必要な人は沢山います。また、誰しも支えが必要なときがやってきます。市民が健やかに暮らせる地域を作り、すべての人が自分らしく暮らせる社会を未来につなげる。これは、みんなに必要なセーフティネットです。「民」だけに負担を強いる時代ではありません。社会全体の問題、「公」の社会的課題として取り組むべきです。・住民福祉は、まさしく行政の最も基本的な責務に規定されます。幸い、人に寄り添うテーマは国や県よりも、住民に最も近い行政・基礎自治体が得意とする分野でもあります。みんなから預かった税金で、みんなを支える。困っている人の支援は、市区町村が公の責務として担うのが最適であり、住民に最も近い各市町村が行うことが重要なのです。

26頁・2022/02/15 12:29

・子供を始め、支援が必要な世代だけでなく、障害者、無戸籍者、犯罪被害者など、市民が本当に支援を必要とするとき、行政が一人ひとりに本気で向き合い、しっかりと寄り添う。

・これが当然進むべき道であり、私のかねてからの想い、また、就任以来一貫として心がけてきた、まちづくりの根本にある揺らぐことのない強い決意です。

・誰もが暮らしやすい共生のまちづくりを、私は「いつまでも、みんなで助け合おう」と表現しています。

・「いつまでも」は、今だけでなく将来も見据え、子や孫の世代にも責任の持てる持続可能な社会作りです。「みんなで」は、行政も地域も民間も、みんなで連携・協力しながら進めていくパートナーシップです。セーフティネットを張るためには、地域を強くし、みんなで支える形にする必要があります。「助け合おう」は、根っこにある考え方で、誰ひとり取り残さず、誰ひとり排除しない、まちのみんなで、すべての人を支える取り組みです。・誰も取り残すことなく、誰も排除しないインクルーシブ(包摂的)(しゃかいてきほうせつ)あるいは ソーシャル・インクルージョン ( 英: social inclusion )とは、社会的に弱い立場にある人々をも含め市民ひとりひとり、排除や摩擦、孤独や)社会を作る。明石の進めてきた優しいまちづくりの理念は、2,015年に定められた国際社会の共通目標、国連のSDGS(持続可能な開発目標)の基本理念と重なります。

27頁・2022/02/15 12:52

・人類普遍の規範であり、世界が目指す2,030年の目標です。日本社会が目指している共生社会のあるべき姿そのものです。

・国際社会、日本全体、そして私のかねてからの願いである共生社会に向け、誰も置き去りにすることなく、住民に身近な基礎自治体から、活力のある地域社会を作る。人々の日常生活の場で、具体的な施策レベルで取り組みを進めるに当たり、明石市では、SDGSが世の中に示される前から、普遍的な二つの大きなコンセプトを掲げています。

・一つは、「子供を核としたまちづくり」です。すべての子供を、まちのみんなで、子供目線で、本気で応援する子供の総合支援です。もう一つは、「優しい社会を明石から」です。・すべての人を、みんなで支え、安心して暮らし続けることが出来る社会保障、セーフティネットの拡充です。たとえ先例がなくとも、まず明石から始め、明石から全国に広げていく取り組みです。

28頁・2022/02/15 13:04・市民とまちの未来への責任を果たすため、明石では、市民一人一人に焦点を当てたソフト施策に重点を置き、持続可能なまちづくりを目指しています。・

 

 

 

明石市長・

https://youtu.be/s9bDPXIAsYc

2/15/2022

1章 子どもを核としたまちづくり

2章 すべての子どもたちを、まちのみんなで

3章 やさしい社会を明石から

4章 本のまち、明石

5章 発想の転換による自治体経営

対 談 オール・フォー・オールのまちはつくれる〔井手英策×泉房穂〕日本全国どのまちでもできる、みんなが幸せになるまちのモデル。6年連続人口増!財政、経済の好循環が加速、明石市。

著者について

泉 房穂(いずみ・ふさほ)

1963年明石市二見町生まれ。

82年明石西高校を卒業し、東京大学に入学。東大駒場寮の委員長として自治会活動に奔走。

87年東京大学教育学部卒業後、NHKにディレクターとして入局。

NHK退社後、石井紘基氏(後に衆議院議員)の秘書を経て、司法試験に合格。

97年から庶民派の弁護士として明石市内を中心に活動。

2003年、衆議院議員となり、犯罪被害者基本法などの制定に携わる。

11年明石市長選挙に無所属で出馬し市長に就任。

全国市長会社会文教委員長。社会福祉士でもある。

柔道3段、手話検定2級、明石タコ検定初代達人。

出版社 ‏ : ‎ 明石書店 (2019/2/11)発売日 ‏ : ‎ 2019/2/11言語 ‏ : ‎ 日本語・単行本 ‏ : ‎ 216ページ

     5つ星のうち4.0 子育てを中心の街づくり

5つ星のうち4.0 市長の人生経験も色濃く反映された明石市施策202081日に日本でレビュー済み人口と出生数が減少する現状において、それほど大きくはない一地方都市として人口増・出生数増・税収増を達成した、刊行時点で「関西唯一の人口V字回復の街」である明石市政の取り組みが、主導する泉房穂市長自身によって綴られた、「暴言市長のもうひとつの顔」とも言えるのが本書です。

 

姉妹書として、ほぼ同時に刊行された『子どもが増えた! 明石市 人口増・税収増の自治体経営』が存在しますが、こちらは識者との鼎談が基本となっていてゲストによる社会批評なども含まれそれはそれで興味深くありますが、現明石市政の取り組みを概観する目的であれば本書が適役です。近隣在住者の明石市移住を検討する材料にもなることでしょう。

 

明石市の施策と特色をアピールすることが本書の狙いであることと同時に、障害者の弟をもつ兄として、読書家として、弁護士としてなど、市長の人生経験が施策にも色濃く反映されていることが読み取れます。

 

以下は各章に関してのキーワードや概要、所感などです。

 

----------

『序章 いま、明石が熱い』

→現明石市政の特色を概観しており、以後を参照するかの判断基準になります。

→詳細は次章以降に譲ることとなります。

 

『第1章 子どもを核としたまちづくり』

・子ども医療費を所得制限なしで完全無料化

・第二子以降の保育料完全無料化

・保育士へのサポート体制

・県内初の30人学級

・「所得制限がないからこそ中間層が引っ越してくる」

 

『第2章 すべての子どもたちを、まちのみんなで』

→様々な点で恵まれない子供たちへのサポートに関する章です。

・離婚後の子どもの完全医療費無料

・駅前に児童相談所を設置

・虐待防止対策

・大々的な里親の公募

 

『第3章 やさしい社会を明石から』

・ろうあ者や車いす利用者への対策

・JR明石駅ホームドア設置

・犯罪被害者支援と加害者厚生支援

・排外主義の対極にある「おかえりなさい」が言えるまちづくり

 

『第4章 本のまち、明石』

→市長の読書家としての想いを感じます。

・駅直結再開発ビルの市民図書館と大型書店の同居と相乗効果

・図書館の利用市民層の広さ/移動図書館/ベストセラーでなく良書を厳選

 

『第5章 発想の転換による自治体経営』

→本書中でもっとも地方自治や一部は国政に対する筆者のスタンスと想いが率直に述べられています。

・フルパッケージはいらない

・全国一律は成り立たなくなっている

・私は「中負担・高福祉派」

・標準家庭像の認識のズレ

・組織再編とスリム化

・「民間並みの経営努力をすること」

 

『対談 オール・フォー・オールのまちはつくれる』

→財政社会学、財政金融史を専門とする経済学者・井出栄策氏との対談。

→実質的には対談というよりは井出氏から泉市長への解説付きインタビューに近く、批判的要素は見受けられず、学者から明石市施策にある普遍性のお墨付きを頂くための章といった印象を受けます。

もっと少なく読む

7:20 2022/02/14

 

 

 

引用、これも龍郷町に取り入れませんか?!学習療法の秘密・認知症に挑む・

 

いい介護、いい施設を目指して、学習療法実践の記録・「いい施設」を追求してたどりついた「個人別の介護」・お互いに深く知り、認め合い、高め合うことで、高齢者と介護スタッフの「いきがい」と「自信」、そして「自立支援」につながった!道会永寿園(えいじゅえん)山崎律美、公文教育研究会学習療法センター共著・

はじめに・3頁・

二十一世紀を迎えた今、日本は「超高齢社会」に直面しています。総人口の281(20189月現在)、つまり約四人に一人が六十五歳以上の高齢者です。また、認知症と診断された高齢者の数は五百万人を超えていると言われており、近い将来には七百万人以上になるとまで言われています。

日本は世界初、人類初の事態に直面していると言っても、決して言い過ぎではありません。

・その五百万人の認知症患者に、その後家族や介護施設の方々などを加えれば、既に数千万人が認知症に関わっていることになるでしょう。若い人も家族が認知症を患うかも知れない。年を取れば、今度は自分自身が認知症になるかもしれない。誰もが認知症とは無関係ではいられない世の中になっています。

・そのため、テレビや新聞、特に高齢者やその家族を読者にする雑誌などで、認知症や介護の話題は、毎日のように取り上げられていますし、高齢者のコミュニティの中では、医療機関選びや施設選びが日々の話題になっています。

・そこからは数多くの一般的な知識や、口コミでの情報を得ることが出来ます。しかし、実は、一口に認知症介護と言っても、必要とされるケアのあり方はひとり一人大きく異なっているのです。もっと言えば、同じ方であっても時期や環境によって必要なケアが異なることもあるなど、その方に適した知識や情報を入手するのは意外と難しいものなのです。

4頁・施設も同じです。お住まいの地域にどのような施設が立地しているか、その施設を利用できるための交通手段が確保できるか、その施設の受け入れ人数に余裕があるかどうかなどによって、どの施設を利用できるかが変わってきます。そして、介護に携わるご家族の状況も様々です。主たる介護の担い手が誰か、その方がどのくらいの時間を介護などに割けるかなどにより、施設の利用方法や施設とご家族の連携のあり方も大きく変わってきます。

・このような認知症介護や施設を取り巻く様々な状況は、知られているようで実は詳しくは知られていないと感じています。・かくいう私達、公文教育研究会、学習療法センターのメンバー(社員)も、学習療法センターの活動がスタートした当初は、このような認知症や介護を取り巻く様々な状況をほとんど知りませんでした。特別養護老人ホームのことを「特養」と略しますが、それが何のことだかわからなかったり、デイケア・デイサービス言葉の違いに戸惑ったりもしました。大半のメンバーがもともと公文の教室事業をやっていたので、本当は何が何だか・・・。手探り状態で苦労しましたし、施設の方々に一つ一つ教えていただいたことは、今でも感謝の念に堪えません。

・介護スタッフはこんな仕事もしているのか、介護の日常はこんな感じなのか、認知症ってそういうものなのか・・・どれもはじめてで、新たな学びの連続でした。各施設で学んだことを挙げたら、きりがありません。このようにして私達は、学習療法システムの導入を通じて、多くのことを体感し、様々な状況を知ることができました。

5頁・その中でも、最も体感したのは、高齢者の介護に取り組む施設の方々、ご家族の方々の真摯な姿や眼差し、ときには戸惑いでした。高齢者の現在の状況、それまでの生活経歴、興味あること、ないこと、好き嫌い・・・本当に千差万別です。一人ひとり個性が異なる高齢者に向き合い、そのかたに取っての「いい介護」を追求・実践されようとする姿勢、介護者が一人で取り組むのではなくて、介護士、療養士、栄養士、施設スタッフなど、関わる方がチームを組んで「いい施設」を目指して奮闘されている姿、本当に頭が下がる思いです。

・一方で、介護施設の方や福祉系大学の方から、介護の仕事は人気がなくて・・・というお話もよくお聞きします。「お年寄りのお役に立ちたい」「専門的な資格やスキルを活かし、介護の仕事にチャレンジしたい」、そんな思い出介護施設に就職した職員が結果的に退職してしまったり、せっかく四年間福祉や介護に関する専門的な勉強をして国家資格まで取得したのに、福祉や介護と無関係なところに就職してしまったりして、「頑張ってくれていたのに残念」「せっかくの勉強がもったいない」と言うお声もお聞きしています。・そのようなお声を聞き、施設での様々なご苦労や取り組みを知れば知るほど、高齢者のケアや介護に携わる方々の現状、仕事のやりがい、そして何より「高齢者の方々に最もお役に立ち、大きなやりがいを持ってこの仕事に取り組みたい」という想いをまとめ、多くの方に知っていただきたいと思うようになりました。ケアや介護は決して簡単な仕事ではありません。だからこそ、その仕事に真摯に、専門的な資格やスキルを元に誇りを持って取り組まれている姿や、この仕事の意義や意味に共感いただきたいとも願うようになりました。

6頁・繰り返しになりますが、認知症や介護は、誰にでも起こりうる身近なものです。本書が自分の身近なところでのこの問題に直面したときに、どのように考え、行動したら良いかを考えるヒントになれば幸いです。折しも政府は、高齢者が住み慣れた場所(地域)で、安心して過ごせるような施設を進めています。地域(社会)の一員として、高齢者のケアにそれぞれができる範囲で携わる、そんな時代も身近になってきています。高齢者が安心して過ごせる地域(社会)は、おそらく子供たちにとっても、その地域に住む大人にとっても、何かあったときに支えあえる、誰にとっても住みやすい地域(社会)の実現にもつながるでしょう。

・私たち、学習療法センターのメンバーが体感したことや施設での実践活動の記録を通じて、読者の皆様と共に「いい介護いい施設」を考えることができれば、望外(ぼうがい)の喜び。

・ところで、読者の皆様の中には、「なぜ教育の会社が介護の世界へ?」と疑問に思われた方もいるかも知れません。

・ご存知の通り、公文教育研究会は、公文式教室のフランチャイズ展開を主な生業としている会社です。

・公文の教室では算数(数学)、国語、英語などを扱っており、公文の先生が生徒一人ひとりの学習状況を把握し、その子のレベルに合った教材を渡して学習してもらいます。教材は細かくレベル分けされ、生徒が自分で学習を進められるように工夫されています。

・7ページ・おかげさまで、公文といえば、「ああ、公文さんね」とすぐに思い浮かべていただけるほど定着しており、町のあちこちに教室の看板を目にすることができます。日本国内だけではありません。今や五十の国と地域(2018年9月現在)に教室があるほどの広がりを見せ、世界各国で学ばれています。

・そんな私たちが介護と関わるようになったのは、現在、東北大学加齢医学研究所の所長を務めておられる川島隆太教授との出会いがきっかけでした。

・川島教授は、日本では有名な脳科学の専門家です。簡単な計算や音読が脳を活性化するという先生の御研究の成果は、いわゆる脳トレブームを巻き起こしました。・公文は、2001年9月、川島教授を含む専門家達と文部科学省主管の共同研究に参画する機会を得たのです。この共同研究の目的は、「読み書き・計算」が認知症高齢者にどれほどの効果があるのかを研究することでした。

・当然、介護施設の協力が不可欠でしたが、社会福祉法人道海永寿会の永寿園という特別養護老人ホームが引き受けてくださいました。・この施設の山崎律美園長は、佐賀県の障害児施設にお勤めの頃に公文の教材を導入され、十年間、学習を継続し続ける中で障害児たちの学力が上がり、性格が前向きになっていく様子を目の当たりにされました。そして、永寿園に移られてからは、高齢者の学習機会を作られ、認知症高齢者が元気を取り戻していく様子をご覧にきました。まさに永寿園は、この共同研究にぴったりの施設でした。

・8ページ・研究が始まってから半年後、「読み書き・計算」の学習をつづけた認知症高齢者と、学習をしなかった認知症高齢者の脳の働きを調べてみたところ、明らかに前者の脳機能に改善が見られました。また、「無表情な方が笑顔を見せるようになった」「おむつをしていた方の便意や尿意が戻ってきた」など、日常生活にも変化が見られました。

・この共同研究が終わった後、川島教授たちから次のような呼びかけがありました。

・「国の共同研究で、つまり国の税金を使って誕生した学習療法を普及させ、世のために貢献してほしい」

・公文はこれに応え、「公文学習療法センター」という新しい組織を創設したのです(今は「学習療法センター」)。そして、学習療法を伝え、お使いいただくことで一人でも多くの皆様に貢献できるよう活動を続けています。・本書は、そんな私達、学習療法センターと、先ほど紹介した山崎園長との共著になっています。

・中身について簡単にお伝えすると、第1章では山崎園長の生い立ちを学習療法センターがご紹介します。山崎園長の他人に何かをしたいという熱い思いや、妥協を許さないお人柄が本書全体にかかわることから、まずは山崎園長のことを読者の皆様にお伝えしようと考えました。

・以降は山崎園長がご担当で、第2章は学習療法で劇的に変わったスタッフと高齢者、第3章は人を育てられるスタッフの育成、第4章はスタッフのやる気を高めるステージ作りと施設間のネットワーク、第5章は「脳の健康教室」など、地域に愛される施設を目指す取り組みが、それぞれ主な内容です。

・9ページ・なお、山崎園長はご自身の成果や貢献について自ら表現することを好まれません。今回は本書のために、学習療法センターが思い切ってご経験や功績をゆっくりと聞き出し、それを文章にすることを特別にお願いしたものです。

・本書が、「いい介護いい施設」を考える際の一助となれば幸いです。2018年11月・公文教育研究会、学習療法センター・

令和429

令和4214

 


 

11:54 2010/05/31

下水道のバランスシート (単行本) 加藤 英一 () 内容(「BOOK」データベースより)

下水道は全国で9000億円を超える赤字を毎年発生させ、自治体の財政を圧迫している。なぜそうなったのか、改善できるのか、今からでも計画変更できるのか…。本書は浄化槽(発生源処理)と下水道(パイプラインによる集合処理)を、環境・住民参加・財政の3側面からデータを駆使して比較・検証する。財政面では、各地の「処理原価」の実態を明らかにし、汚水処理収支の赤字が市町村財政に与える打撃を「赤字強度」で計測する。さらに、「水量密度」による赤字要因の解明や、下水道の汚水分建設コストの算出、浄化槽と下水道の「損益分岐点」も示している。著者は、下水道の基本理念が「(下水)排除と(使用)強制」(=住民不在)にあることと、下水道事業が国庫補助による公共事業としてすすめられたこと(=住民不在)が赤字の根本原因であると指摘する。これに対し、地域自治により水循環・栄養循環をめざす「循環と協働(パートナーシップ)」システムの構築を提案している。

内容(「MARC」データベースより)

下水道は全国で9000億円を超える赤字を毎年発生させ、自治体の財政を圧迫している。浄化槽(発生源処理)と下水道(パイプラインによる集合処理)を、環境・住民参加・財政の3側面からデータを駆使して比較・検証する。 単行本: 244ページ 出版社: 北斗出版 (2004/09) 発売日: 2004/09 

目次


1章 何のために処理するのか(汚水処理システムの誕生汚水処理の目的の変化 ほか)

2章 下水道のバランスシート(環境面~下水道は役に立ったか自治面~下水道は信頼されているか ほか)

3章 浄化槽のバランスシート(浄化槽の新時代水質・コストの現状 ほか)

4章 汚水処理システムの展望(環境面汚水処理における住民参加 ほか)

15:20 2010/05/24

水処理の情報交換と交流誌△△編集発行:通信編集委員会


http://homepage2.nifty.com/watertreatment-club/

本の話題  加藤英一著『下水道のバランスシート』

      ★ 編集後記  県立大学の地域共生演習━━━お知らせ ■■ 

●水田に稲の植えられる光景が広がり始めました。田植えが年々早くなっていくように感じられます。水処理倶楽部ホームページの表紙を飾る写真を募集しています。 水辺の風景を希望します。また、工事現場や稼動状況の一場面なども大歓迎です。水処理の現場から「知ってもらいたいこの一枚」をお送りください。◎宮崎県の口蹄疫の感染。心配です。知人に電話したら、「一夜にして全てが吹っ飛んだ感じだ」と声を落としていました。一日も早く解決の道が開かれることを祈ります。◎Twitter をはじめています。「フォロー」してくださいね。

http://twitter.com/watert_c

本通信は、皆様からの情報にて成り立っております。「水」と付いていれば、下水から湧き水まで、さらには環境に関わる話題も含めて幅広く取り上げております。これはという話題や新製品情報などのご投稿をお待ちしております。なお、ご投稿の際は、ペンネームもしくは無記名希望を明記してください。よろしくお願いします。本の話題■■加藤英一著『下水道のバランスシート』 北斗出版 2004年

とても柔軟で、新しい視点に満ちている本だと思いました。あとがきに、10年ががりの成果だと書かれています。私は、この本で下水道に「発生源処理」の考え方が、取り入れられているのをはじめて知りました。今までは、浄化槽の関係者が「汚水は現地で処理」という考え方を一部取り入れているほかは、下水道や浄化槽サイドからはマイナーとされている「自己完結型システム」の人々の取組みとして語られてきたように思います。「住民参加」と並んで、この本の大きな特長だと思いました。

「バランスシート」と書名にあるように、下水道と合併浄化槽の「損益分岐点」を導き出すことを主眼に水処理をめぐる財政問題が大きな位置を占めています。そこでは、どのような統計指標を使うのか、財政資料をどう読むのか、その最初の手ががりにずいぶん苦慮して、従来にない切り口を模索して、提起されています。「バランスシート」という言葉も、財政問題そのものという側面と循環型社会への展望(栄養循環という言葉を著者は使っています)、住民参加を含めた総合的な意味合いでも使われていて、視点の広がりを感じます。あとがきに、ある裁判で証人として出たときに、著者の学歴が高卒(工業高校機械科)であることだけを聞かれて、専門家としての証言は無視されたことが書かれています。そんなけちな対応を吹き飛ばすすごい勉強量と考察の深さに溢れた本だと思いました。

一読をおすすめします。 感想や意見をお寄せください。(へ)


NO,021

■ 下水道のバランスシート著者:加藤 英一出版:株式会社 北斗出版

UKIの住んでる横浜市は、2005年の4月よりいきなり分別ゴミ回収となって、今、とんでもない事になっている。数年前に、家庭ゴミとリサイクルと電池の3種類の回収に変わったものの、その前は何でも有りの一括回収だった。それが、3種類に分けるようになりすこし慣れてきたら、今度はいきなり12種類に分別しなくてはならない。パニックである。

今回の分別回収の隠れた目的は、分別する大変さからゴミの出す量を減らさせようという事にあるとの噂もあるが、生ゴミをコンポストにしているとはいえ、ゴミの量とその種類は、ハンパでは無い。真からゴミ減らさないとえらいこっちゃと思えてくる。棄てるものを減らす事は、これからの環境維持にとって重要な事である。が、それはゴミに限った事では無い。水の処理にも同様の事が言えるである。という訳で、下水の世界はどうなっているんだろう?と思い、手にしたのがこの本。

著者は、大阪水道局労働組合に在籍するその道のプロである。以前このコラムでも紹介した「200万都市が有機野菜で自給出来るわけ」の著者も東京都農政局に勤めるその道のプロだった。今回もその道のプロでしか書けないへぇ~ネタ満載である。下水道料金は、上水道料金徴収と一緒に徴収されその額は上水道よりは低額となっている。しかし、コストは下水道の方が高い。知ってたぁ?地下水利用者は、上水道料金を取られないのでタダで下水道を利用している事になる。知ってたぁ~??コストが徴収金額より多いという事は赤字、その赤字は税金で賄われているって知ってたぁ~~???

 

現在の多くの下水処理施設は、屎尿処理中心で生活雑排水の処理には万全では無い。また、処理基準が窒素・リン残留に対して甘く、豊栄養化により、大都市の閉鎖湾部で青潮・赤潮発生の一因を成しているんだそうである。戦後広まった単独浄化槽もその要因を生み出しているが、現在はコスト面から、一般下水道施設より合併浄化槽が優れているらしい。住宅建て直しを期に単独浄化槽から、合併浄化槽に切り替える事が環境とコストにも優れ、またその需要は年間2000億円・全体で4兆円市場を生むと著者は著している。さらに、今まで浄化して棄てていた下水を資源として見直していく試みの幾つかの例と提案を著者は行っている。まず出さない為の工夫、雨水などを別処理する事での下水排水量の節減。資源利用として、下水に含まれる窒素・リンを栄養素として農業用水や養殖資源として利用する。さらに安全な下水とする為に、下水に重金属等を混入させないような法的手立てなど。この本は、現場で働く人による本当の構造改革の本である。

 15:06 2010/05/24

■□水処理倶楽部通信 ■□水処理の情報交換と交流誌■□

12:33 2010/05/24

生ゴミからエタノール、国内初の実用化成功新日鉄エンジニアリングは419日、国内で初めて生ゴミなどの食品廃棄物からバイオエタノールを製造するプラントの実用化に成功したと発表した。全国の自治体などに販売する方針だ。プラントは、1日当たり約10トンの食品廃棄物から、約500リットルのエタノールを製造できる。販売するプラントの食品廃棄物の処理能力は1日当たり60トン程度で、販売先は主に人口が30万~40万人の都市を想定していて、プラントの価格は10億~20億円。このプラントを使えば、生ゴミの焼却処理が不要になり、回収したエタノールを自動車の燃料に再利用するなどで、従来のゴミ処理施設よりも二酸化炭素(CO2)排出量を30~40%削減できるという。

<読売新聞>

生ゴミは生ゴミと人が定義しているだけで、栄養価が高く、潜在的エネルギーは非常に高い。また生ゴミは水分を多く含んでいるため、乾燥させずに他ゴミと一緒に焼却するとより多くのエネルギーが焼却に必要となる。生ゴミを価値のある燃料として考慮することができるようになると、エネルギーの原料が増えるだけではなく、焼却場での投入エネルギーの節約にもつながる。ゴミという定義は人が決めているものであり、見方によっては資源になる。限りある資源を有効に使うことが求められている。平成22525

■■ 私のアピール  ■■

 

4月17日~18日

今年のアースディ@瀬戸内で以下のようなメッセージを出しました。トイレと水の問題は、地球環境問題の要(かなめ)です。世界では、26億の人がトイレがないか、非衛生的なトイレ環境にあると言われています。排泄物を衛生的に処理すること、衛生的なトイレが全ての人に供されていること。これは、基本的な人権にかかわる世界の人々の課題です。私たちは、タイ北部農山村地帯で山岳少数民族モン族の支援の一環として、日本の江戸時代に確立された「肥溜めと畑の知恵」という自然浄化法にもとづくトイレをつくってきました。地球環境基金の助成事業で、ここ3年間で10件のトイレ設備をつくりました。そこで、私たちが学んだことは、人の糞尿は、資源だということです。メタン発酵でガス・燃料として使えます。また、畑の肥料として大地を豊かな耕作地にします。ひるがえって、先進国の「下水道システム」をみると多くの水資源を使い処理水を河川や海に放流し、他方で、下水道汚泥を産業廃棄物として、多大なエネルギーを使って埋め立て・焼却処分しています。今年の展示では、「糞尿を資源」とする持続可能な農業農村開発と循環型社会への道をアピールをします。ぜひ、私たちのブースを覗いてください。また、質問をしてください。そして、私たちの活動への一人でも多くの皆さんのご支援と参加をお願いします。=======

アースディ@瀬戸内のサイトをご覧ください。

http://earthday-setouchi.net/

NPO法人シャンティ山口

http://www.shanti-yamaguchi.com/

  へちまや(安藤)ブログ:「村のトイレ屋」の便所・糞尿資源考

   http://atta-an.seesaa.net/

■■ 畜 産 情 報 (短信) ■■

=======================================================

◎長峰さんから連絡です。畜産農家のための汚水処理施設管理マニュアル畜産農家のための汚水処理施設管理マニュアルを作りました。農家向けなかなり初歩の部分のみのものです。ネットに公開していますので、興味のある方はどうぞ。

http://www.chikusan-kankyo.jp/osuiss/kanri_manual/kanri_manual.htm

もし、冊子とDVDが欲しいという人がいましたら、連絡ください。可能な限り対応致します。なお、管理マニュアルのファイルサイズの小さなものを掲載しましたので、サイズが大きすぎてダウンロードしきれなかった人は、これをご利用ください。

http://www.chikusan-kankyo.jp/osuiss/kanri_manual/kanri_manual.htm

 

この1カ月で2200件のアクセスがありました。しかし、ダウンロード件数は

100件しかなかったのです。

ついでですが、家畜ふん堆肥を活用した畑地の土壌改良効果実例集なるものを公開しましたので、ご興味ある方は、こちらもどうぞ。

http://www.chikusan-kankyo.jp/taihiss/dozyoukairyou/dozyoukairyou.htm

□水処理倶楽部通信 ■□水処理の情報交換と交流誌■□

【お断り】このマガジンは正確さ・完璧さなど保証致しかねますので各自の

 責任で確認のうえ、ご利用下さい。また本誌で知りえた情報による損害・紛争について一切関知しませんのであらかじめご承知下さい。

◆配信所:まぐまぐID=0000019863  melma!ID=m00010669

 その他の配信所は、配信を停止しました。

◆登録・変更・解除、バックナンバー、ML、読者掲示板

 http://homepage2.nifty.com/watertreatment-club/

◆発行:水処理倶楽部通信編集委員会

 連絡・投稿先:へちまや ando-maipenrainifty.com

【編集後記】浮田正夫氏(山口大学名誉教授)が、「うんこのうた」を作詞作曲しました。「うんこはえらい」というテーマです。私の持ち歌(テーマソング)として、夏頃には歌手デビューできればと思ってレッスンする予定です。どんな内容かって?来週、詳細をお知らせします。お楽しみに。(へ)

◎水処理倶楽部通信

  のバックナンバー・配信停止はこちら

http://archive.mag2.com/0000019863/index.html

平成22428


2012年1月10日 11:27:42


現代社会は、政治なしでは成立し得ない。どんなに私たちが政治を嫌っても、政治が私たちを捕まえて話さない。